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賢治の連作詩群
宮澤賢治の連作詩といえば、何といっても妹の死の直後に書かれた『春と修羅』所収の「無声慟哭」三部作や、翌年のサハリン旅行の際の「オホーツク挽歌」の章が、代表的です。
一方「春と修羅 第二集」には、これらほど有名な連作があるわけではありません。しかし、書かれた日付に注目しつつそこに描かれている情景をたどっていくと、どこかに出かけた際の行程が順に描写されていたり、ある一つの主題を複数の作品にわたって追求したりした作品群が、けっこうたくさん見つかります。
ここでは、「春と修羅 第二集」を中心に、「連作詩群」を成しているいくつかの作品群を取り出して、当時の賢治の動向をたどってみます。
『春と修羅』
冬の小岩井行 詩群(1922年1月)
無声慟哭 詩群(1922年11月)
五間森行 詩群(1923年9月)
『春と修羅 第二集』
『春と修羅 第三集』
市場往還 詩群(1927年4月)
峠と鉱山駅 詩群(1927年6月)
野の師父 詩群(1927年4月~8月)
豪雨の一日 詩群(1927年8月)
『三原三部』