去る7月30日に、今年度第35回の宮沢賢治賞・イーハトーブ賞が、花巻市から発表されました。(花巻市による広報記事)
受賞者は、下記の方々です。
- 《宮沢賢治賞》
加倉井 厚夫 さん
アクセス数100万件を越える個人ブログサイト「賢治の事務所」を運営し、賢治と天文学を初めとする自身のエッセイや論考を発表、併せて宮沢賢治に関連する多彩な情報を紹介して、現代的なメディアによる先駆的な研究発信を約30年間にわたって行っている業績に対して。
- 《宮沢賢治賞奨励賞》
谷口 義明 さん
天文学の専門的な見地から宮沢賢治の作品を解説し、文系理系を問わぬ読者に宮沢賢治作品を紹介した天文学の入門書『天文学者が解説する 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅』(単著)や放送大学のテキスト『宮沢賢治と宇宙』(共著)を執筆し、意欲的な研究を継続している功績に対して。 - 《宮沢賢治賞奨励賞》
名取 佐和子 さん
現代の架空の高校を舞台に生徒のサークル「イーハトー部」を設定し、不登校となった部の創立者が残した「本当の幸いは遠い」の意味を探る過程を、賢治の作品や賢治に関連する語を組み込みながら描き、賢治文学の主題である弱者へのやさしさを現代的に表した小説『銀河の図書室』に対して。 - 《イーハトーブ賞》
瀬川 正子 さん
賢治の友人であった藤原嘉藤治の開拓した岩手県紫波町に園芸施設「ビューガーデン」を開設し、22回のパネル展、14回の嘉藤治をしのぶ音楽会を開催したほか、資料集『賢治さんの人格・芸術を世界へ 藤原かとうじが残したもの』を刊行し、賢治文学の普及・研究活動に貢献してきた業績に対して。 - 《イーハトーブ賞奨励賞》
該当なし
そして、同日発表された宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞の受賞者は、下記のとおりです。
- 《宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞》
川崎 貴 さん
震災直後の神戸で「神戸宮沢賢治の会」を立ち上げて以来、30年にわたる読書会や朗読等を行い、近年は「影絵劇団白つめくさ」も立ち上げ、近隣の図書館や幼稚園、児童館、小学校等を回るなどの新たな活動も展開し、賢治精神と賢治作品の普及に努めたことに対して。
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さて、今回は何と言っても、「賢治の事務所」を運営しておられる加倉井厚夫さんの宮沢賢治賞受賞が、感無量です。
加倉井さんの上記ウェブサイトは、それから数年遅れでサイトづくりを始めた私にとっては、常に導きの光でした。宮沢賢治についてインターネットで情報発信するという営為の可能性を、鮮やかな形で先駆的に示して下さり、私は様々な形で力をいただくことができました。また、花巻でお会いした際には、いろいろなことを教えていただきました。
もしも加倉井さんの「賢治の事務所」がなければ、私のこのサイトも生まれていなかったのではないかと思います。
加倉井厚夫さんの今回の受賞を、心よりお慶び申し上げます。
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また、宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞を受賞された川崎貴さんにも、長年にわたっていろいろとお世話になりました。
思えばもう23年も前、2002年に賢治学会の夏季特設セミナーで「インターネットのなかの宮沢賢治」というシンポジウムが開かれた際に、私と川崎さんはたまたま一緒に登壇することとなり、イーハトーブ館のホールでお会いしたのが、初対面です。
その後、2016年に神戸で賢治学会地方セミナー「宮沢賢治と音楽」が開かれた際にはお招きいただき、また今年3月の講演会「宮沢賢治 ほんとうのさいわい」にも、呼んでいただきました。
上の紹介にあるように、川崎さんも粘り強く真摯に、30年にもわたって活動を続けておられ、本当に頭が下がります。
川崎貴さんの受賞にも、心からお祝い申し上げます。
このような受賞者の方々の活動や業績を拝見していて、いつも思うのは、これらの皆さんは意識的か無意識的かはともかく、賢治から何かを託されて動いておられるのだなあ、という感じです。
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なお、他のお三方のご本の Amazon ページを、下に貼っておきます。
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銀河の図書室 名取 佐和子 (著) 実業之日本社 (2024/8/1) Amazonで詳しく見る |
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賢治さんの人格・芸術を世界へ: 宮沢賢治の親友 藤原嘉藤治所蔵資料集 藤原かとうじが残したもの 瀬川 正子 (著) 録繙堂出版 (2025/2/17) Amazonで詳しく見る |
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