今朝からNHK教育の「こころの時代~宗教・人生」という枠で、「宮沢賢治 久遠の宇宙に生きる」という全6回のシリーズが始まりました。
講師は、日蓮宗の僧侶で仏教学者の北川前肇さんという方です。
1回目の今日は、「「法華経」との出会い」と題して、賢治を育んだ仏教的な素地や、彼が18歳で『漢和対照 妙法蓮華経』を読んだ時の様子が描かれ、「銀河鉄道の夜」に賢治が込めたのではないかと思われる法華経的なメッセージについても、北川さんがお考えを述べられました。
映像による岩手の風土の紹介や、作品の朗読も随所に挟まれ、北川さんが穏やかに、時に熱く、賢治について語られる姿も印象的でした。
番組の内容の一部は、YouTubeでも紹介されています。
YouTube動画でも番組でも、BGMとしてブラームスの交響曲第3番の3楽章が使われています。賢治はこの曲のSPレコードを持っていて、弟の清六とよく一緒に聴いていたという話が、佐藤泰平さんの『宮沢賢治の音楽』(筑摩書房)p.263に出てきますが、それにちなんだものでしょうか。
今朝の第1回の再放送は4月29日(土)の午後1時~2時にあり、2回目以降の放送予定は、次のようになっています。
- 第2回 「春」と「修羅」のはざまで
放送:5月28日(日) 再放送:6月3日(土) - 第3回 「ほんたうのたべもの」としての童話
放送:6月25日(日) 再放送:7月1日(土) - 第4回 あまねく「いのち」を見つめて
放送:7月23日(日) 再放送:7月29日(土) - 第5回 理想郷「イーハトーブ」の創造
放送:8月27日(日) 再放送:9月2日(土) - 第6回 「デクノボー」として生きる
放送:9月24日(日) 再放送:9月30日(土)
また番組の内容は、下記のテキストとして刊行されています。
NHKこころの時代~宗教・人生~ 宮沢賢治 久遠の宇宙に生きる (NHKシリーズ) ムック 北川 前肇 (著) NHK出版 (2023/3/25) Amazonで詳しく見る |
シリーズを通して見れば、あらためて仏教的な側面から、賢治の人となりや作品について考えてみる機会になるのではないかと、感じさせてくれました。
はひどん
初めまして。
銀河鉄道の父を見た後、このシリーズを見ました。
映画で賢治がこんなに信仰していたのかなという疑問が
この解説を見て、解かれたような気がしました。
自分が幼少のころ難しいと感じていた童話も、この番組の
解釈で理解できた気がします。
6回まで見る予定です。
冬菫
私も番組を大切に見ています。
「宮沢賢治の作品は難しくてよくわからない」ずっとそう思っていましたが、その理由のひとつに、私が仏教の教えにあまり深く親しんでこなかったことがある、と気付きました。
第4回「あまねくいのちを見つめて」の中で聴いた、「松の針」の詩と、ショパンの前奏曲ホ短調が、ずーっと頭の中に、流れ続けています。
美しい詩と音楽に出逢えたことを、とても幸せに思っています。
hamagaki
はひどん様、冬菫さま、コメントをありがとうございます。
今回の「NHKこころの時代 宮沢賢治 久遠の宇宙に生きる」シリーズは、講師の北川前肇さんが日蓮宗の僧侶で仏教学者でもいらっしゃることから、賢治の作品を法華経の思想から読み解くというアプローチが際立っていて、印象的ですね。
宮沢賢治という人や作品には、非常に多彩な側面があって、それぞれが魅力の源泉になっていると思いますが、今回はその仏教的な側面について、いろいろと勉強になります。
北川さんの真摯な語りも、心に残ります。
それからもう一つ、冬菫さんのご指摘のように、バックで使われている音楽の選曲も素晴らしいですね。
上にも書いたブラームスの交響曲とか、R.シュトラウスの「死と変容」とかドビュッシーの「夜想曲」とか、いずれも賢治の生涯や作品に縁のある渋い名曲が、巧みに使われていると思います。
制作陣に、賢治にも音楽にも詳しい方がおられるのでしょうか。
私も、残りの回をいろいろ楽しみつつ視聴したいと思います。