先日の連休に大槌町で見学してきた「旅程幻想」詩碑を、「石碑の部屋」にアップしました。
この詩碑は、以前にもご紹介したとおり、三陸鉄道リアス線の全線復旧開通を記念して、「大槌宮沢賢治研究会」がクラウドファンディングを募って建立したもので、去る3月16日に除幕が行われました。この「旅程幻想」の舞台が、ここ大槌町だったのではないかという説もあることから、ここに建てられたのです。
今回、新たにオープンした三陸鉄道の「大槌駅」は、下写真のようなユニークな形をしています。
横から見ると少しわかりにくいのですが、屋根の形が「ひょうたん」形になっていて、これは大槌湾に浮かぶ「蓬莱島」が、井上ひさしの「ひょっこりひょうたん島」のモデルになったと言われていることに由来しています。よく見ると、駅前の時計の枠も、ひょうたん形になっていますし、駅の周辺を歩くと、「ドン・ガバチョ」や「サンデー先生」など、「ひょっこりひょうたん島」のキャラクターの人形がいろいろ並んでいます。
ちなみに、下写真は駅の2階に上がってみたところで、奥の方で、「博士」が外を眺めています。
ちなみに、この「大槌」の東隣の駅が「吉里吉里」ですから、大槌町内の三陸鉄道の駅は、井上ひさしの作品に関係しているのが2つもあることになります。
また下の写真は、大槌駅から少し西の方に歩いたところにある、「小鎚川」です。作品中で賢治がまどろんでいる「荒れた河原の砂」は、この小鎚川の河原だったのではないかという説があります。
旅程幻想
一九二五、一、八、さびしい不漁と旱害のあとを
海に沿ふ
いくつもの峠を越えたり
萓の野原を通ったりして
ひとりここまで来たのだけれども
いまこの荒れた河原の砂の、
うす陽のなかにまどろめば、
肩またせなのうら寒く
何か不安なこの感じは
たしかしまひの硅板岩の峠の上で
放牧用の木柵の
楢の扉を開けたまゝ
みちを急いだためらしく
そこの光ってつめたいそらや
やどり木のある栗の木なども眼にうかぶ
その川上の幾重の雲と
つめたい日射しの格子のなかで
何か知らない巨きな鳥が
かすかにごろごろ鳴いてゐる
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