千原英喜作品全集第5巻~宮沢賢治による作品集~

 『千原英喜作品全集大5巻ー宮沢賢治による作品集ー』というCDが発売されました。

千原英喜作品全集 第5巻 ~宮沢賢治による作品集~
当間修一 木下亜子
大阪コレギウム・ムジクム 2009-03-15
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 作曲家千原英喜氏による宮沢賢治の詩にもとづいた合唱曲を、当間修一氏指揮の大阪ハインリッヒ・シュッツ合唱団の演奏で収録したものです。

 内容は、下記のとおりです。

  1. 混声合唱とピアノのための組曲「雨ニモマケズ」
     I 告別(一)
     II 告別(二)
     III 野の師父
     IV 雨ニモマケズ
  2. 文語詩稿<祭日> 混声合唱とチェロ、ピアノ、パーカッションのための
  3. 種山ヶ原の夜の歌 ― 異伝・原体剣舞連
  4. 雨ニモマケズ ― 単独演奏・絶唱付 ―

 1.および 4.は、2007年9月30日の京都府立府民ホールアルティでの、また2.および3.は、同年10月28日の大阪・いずみホールでの、いずれも日本初演時のライブ録音です。私は幸運にも、その両方の演奏会に行くことができましたが(「大阪コレギウム・ムジクム演奏会(その一)」「大阪コレギウム・ムジクム演奏会(その二)」参照)、初演時の熱気をそのままに新鮮パックした、素晴らしいCDです。

 指揮者の当間修一氏によるCDのライナーノートが、その演奏会の雰囲気と、このCDについても直截に物語ってくれていると思いますので、その一部を下に引用させていただきます。

ここに収録されている曲の初演日、今思い出してもその時の興奮が蘇る。
何かしら神秘的なものさえ感じていた時の流れの日だった。
こういった演奏会は望もうにもそうあるものではない。
それはきっと自分の奥底で何かが起こる、と予感していたからなのだろう。
千原作品の演奏の中でもこれは特別なことだったかも知れない。

宮沢賢治という一人の偉大な人物に私が大いなる尊敬と魅力を感じていた、というだけではそれを説明することはできない。
確かに賢治の純真さ、一途さ、希求の強さ、優しさ、といったものが私の望んだものと共振したからなのだろうが、そうだとしてもそれがあの日の興奮、高揚に繋がった最も大きな原因だとも思えない。
それははっきりしている。そこに確かな「千原英喜」音の世界があったからなのだ。
千原の音の中で、私の思いと堅持の精神が交わり、そして燃焼した。
「千原英喜」の「音」が賢治と私とを結び付けたのだ。
これは希有な作品である。(後略)

 この演奏会をきっかけとして、私は僭越にも千原英喜作曲「雨ニモマケズ」を VOCALOID で合成演奏してみたりしましたが、当代随一の指揮者や合唱団員一人一人の方々の、プロの「人間の力」の結集の前では、お恥ずかしいかぎりです。
 「文語詩稿<祭日>」や「種山ヶ原の夜の歌」も、様々な打楽器が入って、土俗的な雰囲気が面白いものです。

 このCDは、賢治の歌曲に興味をお持ちの方には、お奨めの一枚だと思います。