先月の京都公演につづき、宮澤賢治をテーマとした「大阪コレギウム・ムジクム」の合唱コンサートに、昨夜行ってきました。
プログラムは、当初の発表よりもさらに充実して、下記のようなものでした。
(朗読 書簡「大正十四(1925)年二月九日 森佐一あて 封書」)
千原 英喜 作曲:
文語詩稿<祭日>混声合唱とチェロ、ピアノ、パーカッションのために [世界初演](朗読 「注文の多い料理店」序)
林 光 作曲:
ポラーノの広場のうた
祈り(「烏の北斗七星」より)
冬と銀河ステーション
海だべがど(「高原」合唱版)
鳥のように栗鼠のように
星めぐりの歌 (ヴァイオリンオブリガート付)(朗読 書簡「大正十(1921)年〔十二月〕 保阪嘉内あて 封書」
青森挽歌(抄))西村 朗 作曲:
同声(女声または男声)三部合唱とピアノのための組曲 永訣の朝
I 永訣の朝
II 松の針
III 無声慟哭―休憩―
木下 牧子 作曲:
混声合唱と管弦楽のための 原体剣舞連 改訂版(朗読 「告別」)
千原 英喜 作曲:
種山ヶ原の夜の歌 ―異伝・原体剣舞連 [世界初演]
ご覧のように、音楽の演奏と、短い「朗読」が、交互に繰り広げられていく形式で、朗読の担当はあの常田富士男さんでした。一つの演奏が終わって舞台が暗転すると、常田さんがスポットライトを浴びつつトボトボと登場するという感じで進み、常田さんの素朴な語り口が、またとてもよい雰囲気でした。
会場となった「いずみホール」には、舞台の奥に美しいパイプオルガンが設置されているのですが、「告別」の最後の、「そらいっぱいの光でできたパイプオルガン」の箇所では、思わずそのパイプオルガンの太い銀色のパイプを、仰ぎ見ていました。
プログラムの後半は、おそらく意識的に、「原体剣舞連」をもとにした作品が並べられていました。木下牧子氏の作品においては、西洋楽器のオーケストラと日本の土俗的なリズムや言葉が激しくせめぎ合い、千原英喜氏の作品では、一転して櫓太鼓や平太鼓や笛や鉦に乗って、日本的な(縄文的な?)声や響きがホールをどよもしました。
それにしても、賢治の「原体剣舞連」というテクストが持つ、呪術的とまで言えるような言葉のエネルギーを、あらためて実感した夜でした。
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