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“文学少女”と慟哭の巡礼者

 「ライトノベル」と呼ばれる文芸ジャンルがあって、「Wikipedia」上の一つの定義によれば、「表紙や挿絵にアニメ調のイラストを多用している若年層向けの小説」ということになるのだそうです。
 云わば、現代の大衆消費社会における、「少年少女期の終り頃から、アドレッセンス中葉に対する一つの文学としての形式」なのかもしれません。

 そのようなライトノベルの一つ、野村美月著『“文学少女”と慟哭の巡礼者(パルミエーレ)』という作品は、同著者による「“文学少女”シリーズ」の第5作目にあたりますが、この巻では宮沢賢治の作品がテーマとなっています。

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫 の 2-6-5)  “文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)
 野村 美月 竹岡 美穂

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 作中で名前が出てくる賢治の作品は、「銀河鉄道の夜」、「注文の多い料理店」、「風の又三郎」、「セロ弾きのゴーシュ」、「グスコーブドリの伝記」、『春と修羅』、「マリヴロンと少女」、「貝の火」、「ツェねずみ」、「双子の星」、「黄いろのトマト」、「敗れし少年の歌へる」、「暁穹への嫉妬」、「種山ヶ原」、「永訣の朝」、「松の針」、「無声慟哭」、「〔雨ニモマケズ〕」、等々。

 そして、作者による「あとがき」は、次のように始まります。

 こんにちは、野村美月です。
 “文学少女”シリーズ五話目は、予告通り美羽のお話でした。ネタ本は、シリーズ開始時から決めていた宮沢賢治『銀河鉄道の夜』です。再読のたびに新たな感動をくれる名作中の名作です! ジョバンニ視点も切ないですが、遠子が語っていたように、カムパネルラ視点で物語を追ってゆくと、たまらなく胸がしめつけられます。本当にいろんな楽しみ方ができる本なので、既読の方も、この機にぜひ読み返してみて下さい。
 賢治は、詩も良いですよね~。作中引用した『敗れし少年の歌へる』は曲をつけてらっしゃる方がいて、ネットで拝聴したのですが、希望を感じさせる澄んだ歌声にボロ泣きしてしまいました。ラストシーンの執筆中も、ずっと頭の中で曲が流れていました。そういうわけで、最後美羽は、歌っています。(後略)

 「ネットで拝聴」ってひょっとして、これは当サイトで公開している歌曲版「敗れし少年の歌へる」のことですよね……。
 思わぬところで、作中のキャラクターが私の付けたメロディーを歌ってくれていたとは、嬉しい驚きでした。

 野村美月さま、もしもこれをご覧になっていらっしゃったら、「あとがき」で触れていただいて、ありがとうございました。