賢治らは1916年3月に、盛岡高等農林学校の修学旅行生として「衣笠村役場」を訪れたということは、以前の記事で触れました(1916年修学旅行の京都(1))。
今日は、その旧衣笠村のあたりの名所をめぐる「きぬかけの路」という道を、雪のちらつく中、歩いてきました。
この道は、京都市北西部の「衣笠山」という小さな山の山裾をぐるりとまわるように通っていて、伝承によれば、平安時代初期に宇多天皇が、真夏に「雪景色が見たい」などと無体なことを言い出した際に、この山に白絹を掛けて雪に見立てたということにちなんで、「衣掛けの路」と名づけられています。
(1)ギャラリー雅堂; (2)堂本印象美術館; (3)café山猫軒
まずは、昼前に家を出て、地下鉄とバスで金閣寺に行きました。昨夜までちらちらと雪も降っていたようですが、今日の昼すぎの金閣は、檜皮葺の屋根の北半分だけに雪が残っている、下写真のような状態でした。
金閣寺を出て、右手に進んでいくのが「きぬかけの路」です。460mほど歩くと、右手に「ギャラリー雅堂」(下写真)があります。ここは、木版画家の井堂雅夫さんの個人ギャラリーで、賢治にちなんだ作品を見たり、画文集『宮沢賢治・心象の風景』(1996)やその他のグッズを購入することもできます。
とりわけ現在は、2月28日までの期間、宮澤賢治の世界や日本の風景を、「絹にアクリル絵の具で描いた肉筆画(タブロー)」32点が、特別展示されています。それは端正で、かつ幻想的な雰囲気の漂う作品でした。なお、井堂さんは、「花巻文化村」の理事長もされている方です。
「ギャラリー雅堂」を後にしてさらに300mほど進むと、「堂本印象美術館」があって、現在は「印象のかたち」という企画展をやっていましたが、今日はここは素通りさせていただきました。
美術館を過ぎると、道の南側は立命館大学の衣笠キャンパス、北側は直接衣笠山の山裾になって、少し坂道になります。
ゆるい上り坂を越えて、美術館から470mほど行ったあたりに、その名も「山猫軒」という、素敵なカフェがあります。
入口はこぢんまりしているのですが、階段を下りて店内に入ると、ゆったりした空間が広がります。光の加減が本当に美しく構成されていて、机や椅子などの調度も落ち着いています。
メニューは、飲み物から種々のケーキ、食事関係も充実しています。奥の本棚には、いろいろ本が置かれていましたが、ちゃんと『注文の多い料理店』もありましたです。
今日は、ここで一休みして昼ごはんを食べました。私は、「エッグカレードリア」です。
京都市街の中心部からは離れていて、交通もあまり便利な場所とは言えませんが、金閣寺や龍安寺に来られる機会があれば、この「山猫軒」は、ぜひ立ち寄る価値のあるスポットと思います。
「山猫軒」を出ると、100mも行かないうちに、「龍安寺」の入口です。広い境内を、池などを見ながら進んでいき、靴を脱いで「方丈」に上がると、今日も「石庭」の前の縁側には、老若男女いろんな国からの人々が、座って庭を眺めていました。
龍安寺からさらに900mほど歩けば、壮大な「仁和寺」があります。 春になると、やや開花時期の遅い大輪の「御室の桜」が見事なのですが、そちらはまたの機会にして、今日は龍安寺から帰途につきました。
megumi
…私にとって近いようで遠い場所、京都市北西部。休みに出かけるのは中心部の四条界隈に偏ってしまいます。中心部から少し離れたところにはいわゆる観光地、今回紹介されている金閣寺から龍安寺あたりなど、まるで時が止まってしまったかのようなところがたくさんあるというのに、交通の便が悪いなどの理由から足が遠のいています。…冬の京都、重い腰をあげれば近場でありながら素敵な「小旅行」が体験できるというのに、時間通りに来ないバスを待つ間の「底冷え」を連想しただけで素敵な観光スポットもどこよりも遠い所となってしまいます。
…雪の残る金閣寺、素敵ですね。
hamagaki
megumi 様、こんにちは。
私にとっても、京都市北西部は実はあまり行く機会のないところです。「京都に住んでいる者は、京都の観光地に行ったことがない」とよく言われますが、それがかなりあてはまってしまいます。
今回の「きぬかけの路」は、賢治が修学旅行で訪ねた金閣寺や衣笠村役場のことを以前に調べている時に、詳しく知りました。井堂雅夫さんのギャラリーや「café山猫軒」は魅力的だったので、いつか記事でご紹介したいと思っていました。
ふだんの日曜日は、家にこもっていることが多いのですが、ブログの記事を更新するネタを仕入れなければと、「重い腰を上げて」出かけてみた面もあります(笑)。
雲
おひさしぶりです。
「山猫軒」とか、名前だけは、知っていたのですが、お写真入りなので、見ていて楽しかったです。
金閣寺は、何度か、行ったのですが、友達に連れられてだったので、行きかたは、覚えておりません。
もう、節分ですね。
軽いのですが、風邪をひいて、しんどいです。
塩見
私も京都出身ですから、実家に戻るだけで観光せずの蛙ですから、寺院仏閣観光名所にあまり行ったことがありません。京都検定には挑めません(笑)。ちなみに金閣寺は二度行ってますが、龍安寺さんとは全く縁がありません。井堂先生というか、先生の奥さまとしばらく文通があったので、懐かしいです。ありがとうございます。そう、奥さまとは遠野で縁あって知り合ったのです。花巻じゃないところが味噌です(笑)。
hamagaki
>塩見 様
やっぱり京都にいるとなぜかそうなってしまいますよね~。でも、たとえば東京に住んでいる人でも、「東京タワー」とか、「浅草寺」とか、「明治神宮」とか行くんでしょうか。京都人だけの現象ではないのかもしれないとも思ったり・・・。
それにしても井堂雅夫さんの奥様とお知り合いとは、すごいですね。遠野での出会いというと、「どんど晴れ」を思い出してしまいます。(古いか)
>雲 様
どうかお大事にして下さい。
節分には、なせか京都ではだいたい雪が降ることが多いのですが、今日は一日曇りでした。
塩見
hamagakiさん、この現象は日本中どこの地域でも言えるはずです。東京のことは、お上りさんの方がよく知っている…というか、地元の人は自分の住んでいる地域のことしか知らない人が多いですよ。私も首都圏内は色々な所へ遊びに行ってます。花巻出身の友人も、よほどのファンじゃない限り、賢治先生のゆかりの地のことは知らない訳で、私がせっせと吹き込んでおります(笑)。
雲
HAMAGAKIさん、わたしも、塩見さんの意見に、一票です。
気づくのに、だいぶ、時間がかかりました。
方向音痴に加え、地理音痴、社会科、理科、全くダメなので、地元のことも、わかってないです。
天神祭りとか、行ったことがないです。
行ってみたかったのに、親が横から、夢を壊すようなことを、言い出すのも、原因でした。
おしゃれも、マイペースに戻ったのも、大阪とかの出身者じゃないかたの方が、おしゃれにしているらしいという意見を本か何かで、読んだからだった気がします。