こんにゃく座「セロ弾きのゴーシュ」

 私自身が見たのはもう20年も前のことでしたが、その時のこんにゃく座「セロ弾きのゴーシュ」感激は今も忘れない、こんにゃく座によるオペラ「セロ弾きのゴーシュ」が、また帰ってくるそうです。

 チラシによれば、「1986年の初演以来、800回を越える国内公演、1999年にはフランス、2003年にはアジア4ヵ国での公演をおこない、まさにこんにゃく座の代表作といえるオペラ『セロ弾きのゴーシュ』が、4年間の休演期間を経てこの12月、ふたたび始動します。」とのこと。

 各地で、「子ども劇場」「おやこ劇場」などによる会員向け公演、あるいは児童生徒を対象とした学校公演も催されるようですが、一般向けの公演予定は、以下のとおりです。

12/09(日) 愛知県 御津町文化会館
12/15(土) 長野県 まつもと市民芸術館
12/16(日) 愛知県 中川文化小劇場
12/18(火) 京都府 京都府長岡京記念文化会館
12/23(日) 広島県 広島市東区民文化センター
12/24(月) 山口県 山口芸術情報センター

 公演詳細やチケット申し込みは、オペラシアターこんにゃく座のサイトをご参照下さい。
 21年前に見た時には、それまで文字だけで親しんでいた賢治の言葉の一つ一つが舞台の上で歌われることに何とも言えぬいとおしさを感じ、また狭い空間で数人の歌い手とピアノ伴奏だけで物語の世界が広がっていくことに、目を見張りました。

 作曲者の林光氏は、今回のチラシに次のように書いておられます(抜粋)。

 オペラ『セロ弾きのゴーシュ』でうたわれることばの98パーセントは、宮澤賢治の原作そのままで、これはこのオペラのおおきな特徴となっている。あの、「ああくたびれた、なかなか運搬はひどいやな」というねこのせりふはじめ、いちど読んだら忘れられない賢治コトバのたのしさを、まるごとオペラにしたいというのが、ぼくの夢だったのだ。
 そのいっぽうで、のこる2パーセントでは、読むおはなしとはまたちがう、ドラマの世界を展開させるために必要な変更を、だいたんにおこなった。「一」でオーケストラが練習し「六」で発表演奏する「第六交響曲」をシューマンの『第三交響曲』にしたこと、「四」で仔だぬきが持ってくる曲を「愉快な馬車屋」ではなく沖縄のわらべ歌『てぃーちでぃーる』にしたこと、おなじく「四」のおわりのほうで仔だぬきが賢治の詩による『あまのがは』を歌うこと、「五」でゴーシュが弾く「なんとかラプソディー」を、賢治の詩『原体剣舞連』に曲をつけたものに変えたこと。
 中学生のときからずっと、宮澤賢治の作品はぼくをこころからたのしませ、おもしろがらせ、そしていつのまにかはげましてくれていた。このオペラもまた、観てくださるみなさんにとって、そのようなものであったらと、こころからねがっている。