賢治のTV番組「迷宮TRANOVEL」

 来たる9月22日(土)の午後8時から、「迷宮TRANOVEL―宮沢賢治『銀河鉄道の夜』―」という番組がBS日テレで放送されます。「銀河鉄道の夜」に魅せられた旅人・宮沢りえさんが、作品にまつわる謎を解くために花巻を旅するという設定だそうです。
 少し前に番組制作会社の方から、この番組に使用するかもしれないということで、賢治の初恋の人と言われる高橋ミネさんの写真について私の方に問い合わせがありました。実際の番組中でどういう扱いになるのかはわかりませんが、ちょっと楽しみです。
 宮沢りえさんと云えば、井上ひさし原作・黒木和雄監督の映画『父と暮せば』の美津江役の素晴らしい演技が印象的で、賢治について熱く語ったり、「星めぐりの歌」を歌ったりする場面がありました。今も宮沢賢治と宮沢りえを取り合わせると、あの情景が浮かんできます。

 私自身は、ちょうどこの日のこの時刻は、花巻の大沢温泉に滞在している予定で、番組を直接見ることはできないかもしれないのですが、先週この番組のために連絡を取り合う中で、ミネさんの(義理の)お孫さんから送っていただいた新たな写真を、ここにご紹介しておきます。
 ミネさんは右から2番目で、しっかりとした意志の力を感じる表情ですね。写真の裏書きには「大正七年七月」とあり、賢治と出会ったとされる1914年(大正3年)の、4年後にあたります。

高橋ミネさん(右から2番目)

 以前に「ミネさんの結婚」という記事の中で、岩手病院における記念写真を掲載しましたが、上の写真のミネさんはこの記念写真と同じ衣装、髪型、表情で、ミネさん以外に同一人物が少なくとも二人います。すなわち、ほぼ同じ頃に撮影された写真と思われるものです。
 これまでわかっている範囲では、ミネさんは1913年(大正2年)4月に看護婦試験に合格して岩手病院に勤務を始め、1915年(大正4年)から札幌の鉄道病院に赴任し、1918年(大正7年)にまた岩手病院に戻ったと推測されますので(「札幌のミネさん」参照)、これは岩手に戻って間もない頃の写真と思われます。