水の循環

 最近、ブログの更新が滞って申しわけありません。

 今日の記事もたいしたことではないのですが、先月末に「水めぐりの歌」という記事でとりあげた、「青森挽歌」(『春と修羅』)中に出てくる「おゝおまへ せはしいみちづれよ/どうかここから急いで去らないでくれ」という詞句を含むテキストが、国会図書館サイトの「近代デジタルライブラリー」でも見られるというご紹介です。
 この詞句が収められた『独文読本』は、明治~大正時代のドイツ語学習者にとってはかなり広く普及していたようで、「近代デジタルライブラリー」にも『独文読本巻之一講義』とか『独文読本字引』など、このテキストを使う上での参考書のような本が収録されています。

 下は、1919年(大正8年)に精華書院というところから刊行された、『独文読本巻之一講義 9版』のページです。

「水の循環」1

「水の循環」2

 上側のページに見るように、題名は「水の循環」と訳されていますね。2行目に、「おゝ汝 急はしき 友よ」として、賢治が引用した部分が出てきます。
 しかし、この参考書では発音のカナ表現の仕方や訳語が、賢治が用いたものとは異なっていますので、賢治はこの本で勉強したわけではなかったのでしょう。