今日は、白石加代子さんの「百物語」シリーズ第二十七夜、「銀河鉄道の夜」公演に行ってきました。詳しくご報告したい気持ちでいっぱいですが、まだこれから各地で上演が行われますので、ネタバレ(内容の詳細)は控えさせていただきます。
会場はぎっしり満員で、始まる前から白石さんへの期待による熱気に包まれている感じでした。
時間になってホールが真っ暗になり、舞台の上の白石さんにスポットライトが当たると大きな拍手。上品な和服を着た白石さんは、立っておられるだけで何かオーラのようなものを感じますが、まずはにこやかに挨拶をされました。背景の黒の垂れ幕には、1ヵ所だけ「窓」のような小さなスクリーンがあって、白石さんがその窓の覆いを開けて、お話が始まります。
これは、「朗読」と「一人芝居」の中間のような感じで、終始台本を持って語られますが、かなり演劇的な所作や舞台上の動きも伴っています。それに、若干の効果音と音楽、後ろの小スクリーンに映し出される星空の写真など。
テキストは、演出の鴨下信一氏によって、「第三次稿」と「第四次稿」が組み合わされ構成されたものでした。
物語が始まると、白石さんの語りのものすごい力によって、否応なくぐいぐいとその世界に吸い込まれていきます。
思わず我を忘れる感じで聴いたのは、途中でタイタニックを思わせる船から乗り込んでくる姉弟の家庭教師が、船が沈む経緯を話すところ、それから最後のカンパネルラのお父さんの語りでした。激しく心が揺さぶられました。まるで魔法にかかったような気分で、私としても初めての体験でした。
ピアニストでいうと、マルタ・アルゲリッチの演奏のような感じでしょうか。
「銀河鉄道の夜」は、アニメ映画にされたり、ミュージカルにされたり、CGによるプラネタリウム番組にされたり、どれも素晴らしいものでしたが、そのどれとも異なった、これまでにはない独特の一つの世界でした。
下の画像は、あさっての神戸の公演のチラシですが、コピーになっている
千変万化変幻自在の語りで魅せる、
美しくも悲しい、
そしてちょっぴりゾッとする、
銀河鉄道の旅
というのが、まさにぴったりでした。この物語が「旅」の話であるのは、読んだ人なら誰でも知っている当然のことなのですが、1時間半ほどかけて聴き終わると、まさに一つの「旅」をしたような感じがしました。
今後の公演予定は以下のとおりです。
- 3月9日 兵庫県立芸術文化センター(神戸)
- 3月11日 名鉄ホール(名古屋)
- 3月13日・14日 グリーンホール相模大野(相模原)
- 4月2日 水戸芸術館(水戸)
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