この歌の旋律は、先日も触れたようにイッポリトフ=イワーノフというロシアの作曲家による組曲『コーカサスの風景』の中の終曲、「サルダールの行進」に由来しています。以前は、「酋長の行進(行列)」と訳されるのが一般的だったようですが、「サルダール」という言葉は「軍司令官」という感じの意味だそうで、最近はそのまま「サルダール」とされることが多くなっています(参考「『コーカサスの風景』の概要」)。
今回の歌曲ファイルは、作曲家のスコアをそのまま MIDI に打ち込んで作ったオーケストラ演奏に、‘VOCALOID’で作成した歌声を重ねたものです。5分に満たない小曲とは言え、オーケストラの各楽器の音符を逐一入力し、それぞれに音量やニュアンスを付けていくという作業は、かなりの手間を要しました。
しかし一方で、画家がパレットの上で絵の具を混ぜ合わせるように様々な音色の配合を楽しんだり、離れたところから曲全体を眺めてみてその均衡を調節したりすることには、まるでオーケストラの指揮者になったような楽しみもあります。
歌の付いた部分は全曲の4分の1ほどで、割合としては大半をオーケストラによる「間奏」が占めることになっています。どう構成するか迷いましたが、結局は賢治が聴いていたSPレコードを追体験してみる意味でも、全部をそのまま演奏ファイルにしてみました。
間奏部分からは、賢治が「にぎやかな光の市場」と表現した雰囲気さえ感じとれるような気がしますし、いちばん最後の幕切れのところには、「めぐるい」感じがよく出ているではありませんか(笑)。
つめくさ
こんばんは。
金星楽団による交響曲をひとつ果したかのような「牧場~」の指揮、お疲れ様でした。
私は作文に煮詰まりながら二日に一遍は聴かせていただいておりました。
楽譜がまるで読めない私ですが、目を閉じて聴くにつけ、「白樺も日に燃えて」「雪融の流れに飼ひ」の辺りは<めくるめく>感じがし、「馬をみなかみに連れ行けよ」の辺りは<まばゆい>感じがします。
いずれにせよ、「たのしくめぐるい春が来た」の大団円ですね!
hamagaki
つめくさ様、いつもありがとうございます。
うちの家人が、出来上がったこの曲を一聴しての感想は、「非常に物々しい曲だけど、結局のところ言いたいのは、『馬をみなかみに連れて行け』ということなのね。」でした。
私が「まさにその通りです!」と答えて、この日に外山高原で何が行われるのか、なぜ大勢の人が勇んで「馬をみなかみに連れて行」っているのかを説明すると、とても納得してくれました。
しかし家族も、私がDTMの作業をしている時は、何度も何度も同じ箇所を聞かされたりするので、いい迷惑だと思います。