「開運橋の歴史」説明板
1.テキスト
そら青く
開うんばしの
せとものの
らむぷゆかしき
冬をもたらす
宮沢賢治
この短歌は宮沢賢治が二
代目開運橋の袂に設置さ
れた瀬戸物製のランプを
眺め詠んだものです。
2.出典
「歌稿〔B〕」632
3.建立/除幕日
2015年(平成27年)6月
4.所在地
愛知県田原市田原町汐見5 田原市中央図書館外壁
5.碑について
盛岡駅からほど近い開運橋の東のたもとに、「開運橋の歴史」と題された説明板が立てられており、その冒頭に賢治のこの短歌が引用されています。
賢治が、盛岡高等農林学校3年の1917年(大正6年)晩秋か初冬の頃に詠んだ短歌で、題材となっている二代目開運橋は、1917年6月に完成しました(下写真は本説明板より)。
つまり、橋が出来上がってから約半年後に、詠んだ短歌です。
上の写真の真ん中あたりに、白い石柱が立っていますが、その上の方に、賢治の言う「せともののらむぷ」が見えます。 『盛岡案内』(1926)という本に掲載されている開運橋の写真を拡大すると、右のような「飾燈」が見えます。開運橋には、このような瀬戸物製の飾燈が16個吊るされていたということです。
賢治はこの瀬戸物のランプのことを、「ゆかしき」と謳っていて、「行って見てみたい」「心惹かれる」というようなニュアンスかと思われます。
そして最後の、「冬をもたらす」の主語は何なのかと考えてみると、冒頭の「そら」のようです。冷たく澄み切った青空が、冬の到来を感じさせ、そこから賢治は橋のたもとのランプを連想しているのです。
おそらく賢治は、できたてのこの立派な橋に飾られたランプがかなり気に入っていて、これが冬空に温かく灯るところを、楽しみに待っていたのでしょう。
ちなみに現在の開運橋は、下写真のようになっています。