このたび、文教大学の鈴木健司さん、大島丈志さん、および東京女子大学の柴山雅俊さんとの共著として、『宮沢賢治の体験世界─幻想・空想・夢想─』を刊行しました。
文学の研究者2名と、精神科の医師2名という、異色の組み合わせによる賢治論です。
『宮沢賢治の体験世界─幻想・空想・夢想─』(文教大学出版事業部)
目次は、下記のようになっています。
はじめに
第一部「共同討議」
共同討議(Ⅰ)賢治の作品と生涯における解離の諸相
共同討議(Ⅱ)宮沢賢治と想像力─詩「手簡」を読む
共同討議(Ⅲ)宮沢賢治と想像力─童話「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」を読む
共同討議(Ⅳ)宮沢賢治と想像力─詩「真空溶媒」を読む
第二部「論考」
宮沢賢治の口語詩における幻想性評価の試み(浜垣誠司)
宮沢賢治の体験世界(柴山雅俊)
夢の機構と想像力(鈴木健司)
「よだかの星」考─宇宙との合一と孤独・その傷つけるもの─(大島丈志)
あとがき
第一部は、文教大学の鈴木健司さんの呼びかけで行われた共同討議の記録です。2020年に始められましたが、あいにくのコロナ禍のために4人が一堂に会することができず、ウェブを介してのミーティングという形で進められました。
オンラインという性質上、対面での議論に比べるとなかなか問題を詰め切るのが難しかった面もありますが、賢治の幻想的体験の特徴について、4人が自由に多彩な意見を出し合っています。
第二部には、共同討議でしゃべりきれなかったことや、それぞれが興味のあるトピックについて、書いています。
書籍は、近いうちに Amazon でも少数ながら販売されるということですので、また購入可能になりましたらお知らせ申し上げます。
つめくさ
hamagaki様
共同研究のご出版お祝い申し上げます。
早速拝読しました。
各氏のご発表を交えた討論会の躍然たる模様と、次いで紹介される論考4編。
・因子の定量化によって可視化される作品分析に取り組んで―
・多くの人の心奥に共通して保存されている原初的世界では―
・現実空間から何を拾い上げて<夢>を紡ぎ上げていったか―
・他者を犠牲にして生きる「存在の罪」とどう向き合うのか―
第一部、第二部とも、いずれも皆さんの声が直に聞こえ、まるで自分までもがその場に居合わせて一緒にものごとを考えているかような心持ちになりました。
hamagaki様はじめ皆様、今後もいっそうご活躍ください。
hamagaki
つめくさ様、さっそくにお読みいただき、また素晴らしいコメントを賜りまして、心より感謝申し上げます。
今回の本は、オンライン討議の記録を中心とするかなり特殊な内容で、どんな印象になるのか心配でしたが、臨場感を感じていただけたのでしたら、望外の喜びです。思えば2020年のうちは、慣れない Zoom の画面に緊張したものでした。
今日はこれから東京へ行って、今回の出版の「ご苦労様会」の予定です。
皮肉なことに、共同研究が終わってしまってから、初めて4名が実際に顔を合わせることになります。
このたびは本当にありがとうございました。
今後とも、どうかよろしくお願い申し上げます。