賢治先生の家周辺の樹木の伐採について

 昨年11月に、「旧羅須地人協会の建物周辺の状況」という記事でご紹介したように、花巻農業高校の敷地内にある旧羅須地人協会の建物周辺の樹木が、この数か月の間にほとんど伐採されてしまい、その景観はかなり変貌しました。
 このたび、この措置に対する説明として、1月16日付けで花巻農業高等学校のサイトの「賢治先生のページ」に、「賢治先生の家周辺の樹木の伐採について(同窓会より)」という文章が、掲載されました。

賢治先生のページ(岩手県立花巻農業高等学校)

 その説明によると、このたびの樹木伐採は、隣接する「いわて花巻空港」から、これらの樹木が航空法による高さ制限に抵触しているという指摘を受けたためだったということです。学校・同窓会としては、景観保持の観点から現状維持をお願いしたものの、それがかなわなかったのだと記されています。
 また、樹木の皆伐ではなく、「芯止め・剪定」によって高さを抑えるという方法も検討されたようですが、松の木の中には松枯れしたものや枯れ始めているものが多く、倒木の恐れももあったため、今回の措置となったようです。

 ということで、今回の伐採処置は、花農あるいは同窓会が主体的に行ったものではなく、航空法および松の木の現状のために、やむを得ず行われたものだということですので、当サイトとしては前回に記事にした経緯もあり、ここにあらためて管理者側からの情報としてご紹介させていただきました。

 ちなみに今回、花巻農業高校および同窓会側から、上記の説明文がWebサイトに掲載された背景には、関東在住の賢治愛好家の有志の方々が、この問題について花農関係者に問い合わせを行い、年末には花巻で意見交換の場も持たれたという、地道な活動があったおかげかと思います。もしも学校側からの上のような説明が公表されないままでいた場合には、全国の賢治ファンの間には、何か釈然としない思いがくすぶり続けることになったかもしれませんので、ご尽力いただいた関係者の皆様には、ここに心から感謝を申し上げる次第です。

 あと、この問題に関連して気になることがもう一つあります。現在、花巻農業高校に隣接した土地に、花巻市が観光客用の大きな駐車場を建設中で、3月中には完成する予定だということです。
 この駐車場がどのように運用されることになるのか、まだ今の私にはわかりませんが、旧羅須地人協会の建物や賢治の銅像など、賢治に関連した高校敷地内の貴重な共有財が、あまり露骨に観光資源化されてしまうことのないよう、個人的には祈っているところです。