「第6回イーハトーブ・プロジェクトin京都」案内

 3年前の東日本大震災以来、宮澤賢治をテーマとして京都で行ってきたチャリティ企画「イーハトーブ・プロジェクトin京都」の第6回を、来たる3月2日(日)に、京都市左京区にある法然院本堂で開催いたします。
 今回は、第2回でも「光の素足」を演じていただいた能楽師の中所宜夫さんが、福島の原発事故を潜在的テーマとして書き下ろされた新作能「中尊」を、<能楽らいぶ>という形式で演じていただきます。

第6回イーハトーブ・プロジェクトin京都
  中所宜夫「中尊」(能楽らいぶ)
    シテ: 中所宜夫
    ワキ: 安田登

日時: 2014年3月2日(日)午後6時開演(午後5時半開場)
場所: 法然院 本堂(京都市左京区鹿ヶ谷)
参加費: 2000円(必要経費を除き被災地の活動に寄付します)

 下記チラシは、クリックするとPDFで拡大表示されます。

「第6回イーハトーブ・プロジェクトin京都」チラシ

 これまでの企画とは違って、今回は賢治の作品は採り上げていないのですが、その内容には、賢治の精神が息づいています。
 この「中尊」という能のクライマックスの部分では、石牟礼道子氏の詩「花を奉る」が謡い舞われます。ここにおいて中所宜夫さんは、「賢治の精神を受け継ぐ石牟礼道子」という視点も持ちながら、"東北の今"を描こうとされました。また、ワキ(旅の詩人)の語りの中には、「いいはとおぶとも呼ばれし日高見の地…」という言葉さえ登場します。
 このような能「中尊」は、「イーハトーブ・プロジェクト」という私たちの催しの趣旨にもぴったりとかなうものでしたので、是非ともと中所宜夫さんにお願いした結果、チャリティ企画へのご協力を快諾いただいたのです。

 この能は、遠く阿弖流為(アテルイ)の時代から、奥州藤原氏の滅亡を経てはるか現代まで、東北がずっと背負ってきた重い歴史を、私たちに垣間見せてくれます。そして、彼の地において「救い」を模索した人々の系譜に、宮澤賢治その人も連なっていることを、あらためて浮かび上がらせてくれるものです。

 当日は、まず能が始まる前に、私どもの第3回公演で賢治作品の「かたり」をしていただいた竹崎利信さんに、石牟礼道子の詩「花を奉る」を朗読していただいて、導入とします。
 それから、「中尊」の<能楽らいぶ>が始まります。シテ(=福島で原発事故に遭い幼子とともに岩手へ逃げてきた女性)を中所宜夫さんが、ワキ(=福島浜通りから来てその女性と出会う旅の詩人)を安田登さんが、それぞれ務められます。

 終了後には、中所さんと私とで、簡単な対談をさせていただきます。中所さんがこの能に込められた思いや、石牟礼道子や宮澤賢治との関わりについても、お聞きしたいと思います。

 思えば、南北朝の戦乱が続いた観阿弥・世阿弥の時代から受け継がれてきた能という芸能は、亡くなった人々、失われたものへの「鎮魂」という役割を、色濃く帯びていました。現代の能「中尊」は、そのような伝統の力を受け継ぎ、今なお福島の現実によって胸を突き刺されたままの私たちに、何かを示唆してくれるのではないかと思います。

 あとそれから、この3月2日の能公演には、もう一つ素晴らしい企画も連動しているのです。
 当日は法然院において、上のチラシの原画も描いて下さった画家・鈴木広美(ガハク)さんによる「蓮の花」の連作の展示も行われるのです!
 上のチラシ原画は、縦1mほどの作品だということですが、これよりさらに大きな作品も含め、当日は数枚の油絵や版画が、法然院の古式ゆかしい空間に並べられます。そして、輝かしくも神秘的な「ガハク・ワールド」が出現する予定なのです。私も今からワクワクしているところですが、皆様もどうかご期待下さい。
 ということで、遠く埼玉から私どもの催しのために、素晴らしい作品群をお寄せ下さるガハクこと鈴木広美さんには、この場を借りてあらためて厚く御礼申し上げます。

 会場となる法然院本堂は、ふだんは一般公開されておらず、なかなか中を拝見することはできないのですが、そういう意味でも、今回は貴重な機会となります。
 この3月2日の法然院公演にご来場ご希望の方は、075-256-3759(アートステージ567: 12時ー18時, 月曜休)にお電話いただくか、または当サイト管理人あてメールにお名前と人数を明記して、あらかじめご予約下さい。

 能「中尊」の内容については、近日中にもう少し詳しくご紹介をさせていただこうと思っています。