千原英喜作曲の児童・女声合唱組曲「ちゃんがちゃがうまこ」の中から、第2曲「ちゃんがちゃがうまこ」の演奏を作成してみました。
千原英喜氏によるこの組曲は、次のような構成になっています。
1.烏百態
2.ちゃんがちゃがうまこ
3.青い槍の葉
4.祭日
5.敗れし少年の歌へる(第2番)
6.黒い影法師のうた
今回作ってみた「ちゃんがちゃがうまこ」は、賢治が盛岡高等農林学校在学中に詠んだ方言短歌を歌詞にしたもので、賢治が大好きな馬へ寄せる気持ちが、親しみやすいメロディーに乗せて歌われます。
冒頭や最後のピアノには、「チャグチャグ」と形容される馬の鈴の音も響きます。
夜明げには
まだ間あるのに
下の橋
ちゃんがちゃがうまこ見さ出はた人
ほんのぴゃこ
夜明げががった雲のいろ
ちゃんがちゃがうまこ 橋渡て来る
いっしょけめに
ちゃがちゃがうまこはせでげば
夜明げの為が
泣くだぁぃよな気もす
下のはし
ちゃがちゃがうまこ見さ出はた
みんなのながさ
おどともまざり
歌は、VOCALOID の Meiko、初音ミク、Mew、ピアノは、Steinway Virtual Concert Grand Basic です。
児童・女声合唱組曲 ちゃんがちゃがうまこ 詩:宮沢賢治 千原 英喜 全音楽譜出版社 2010-11-12 Amazonで詳しく見る |
ゆき
歌になった4首も素朴でいいですが、『アザリア』第一号の8首は、これだけでひとつの短編が描かれているようで驚きました。
ちゃんがちゃがうまこを見に、まだ暗い中集まる人達。その期待感。弟。暗闇の向こうの気配。橋の上に現れた様子、音、汗、色。息づかいに心通わせた後に、夜明けの雲の流れるように去っていく馬と祭りの空気。
賢治の短歌が益々好きになりました。
hamagaki
ゆき 様、ありがとうございます。
ご指摘のとおり、『アザリア』に掲載されている八首連作には、より素朴な、そして一方でまさに「ひとつの短編」のような情感がありますね。
ありありと伝わってくる雰囲気・・・。
このように、短歌一首の中に収まりきらない内容がだんだんとあふれてきたことが、賢治がやがて短歌から口語自由詩に移行していった理由だという説には納得できますが、しかしこの段階はこれで素晴らしいですよね。