今日は、星野祐美子さんと三宅かおりさんの、朗読&チェロのコンサートに行ってきました。
これは、京都の「町家(まちや)」を会場としてさまざまなイベントを行う「楽町楽家」というプロジェクトの一環で、室町通御池上ルにある「遊子庵」という町家の二階のお座敷において行われました。会場の入口はこんな感じです。
で、「舞台」はこんな感じなのです。
定員は30名で、ほんとうに「アットホーム」な感じのコンサートでした。実際に現在も居住されている「家」で行うのですから、これこそ文字どおり、真の「アットホーム」ですね。
「宮沢賢治作品の朗読をライフワークとする」という星野祐美子さんの朗読は、私は一昨年にも「風の又三郎」をお聴きしたことがありましたが、今回はチェロとのコラボレーションです。チェロは、賢治自身が弾いていた楽器でもありますし、三宅さんもおっしゃっていたように「人間の声に最も近い」と言われる音色で、朗読とも豊かに溶け合っていました。
プログラムは、前半が「注文の多い料理店 序」に始まって、「雨ニモマケズ」、「永訣の朝」、そして「星めぐりの歌」の歌唱、童話「めくらぶだうと虹」。
後半は「牧歌」の朗読と歌唱、「小岩井農場 パート一」、「注文の多い料理店」、「告別」でした。
チェロとの掛け合いは、たとえば「めくらぶだうと虹」においては、めくらぶどうから虹への呼びかけを暗示してエルガーの「愛の挨拶」をちりばめ、「小岩井農場 パート一」においては、ベートーヴェン「田園」の第一楽章の主なフレーズを言葉のあいまに挿入して、賢治とベートーヴェンによる自然の中の散策を描き出すという、考え抜かれた趣向でした。
「注文の多い料理店」では、まるでラジオドラマのように、星野さんがキャラクターを巧みに読み分けつつ迫真の物語を展開する一方、チェロの三宅さんはどんどん即興的な効果音や音楽を入れて、たった二人なのに大きな「劇」」を体感するようでした。
そしてアンコールは、「大菩薩峠の歌」の朗読と歌唱。なんとディープな選曲と思いましたが、星野さんは花巻あたりの自然の中を歩いていると、この民謡のような旋律が、どこかから聴こえるような感じがすることがあるのだそうです。
賢治も、なんらかの形で自作の劇に音楽を生かすことを考えて、チェロやオルガンを自ら練習していたわけですが、今日の催しはその具体的な一つの達成と感じました。
下の写真は、終了後にみんなのために写真撮影用に取っていただいたポーズです。
終了後、星野祐美子さんと少し言葉をかわす機会が持てたのも、うれしかったです。当サイトを見ていただいていることもあるとは、望外の光栄でした。
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