竹田恵子コンサート「喜寿の林で」

竹田恵子コンサート 先月にもご紹介した、竹田恵子さんの「光さんに “喜寿の林で、あるいは賢治さんの波うちぎわ”」というコンサートに行ってきました。作曲家林光氏の喜寿を祝う、素敵な催しです。

 コンサートはアットホームな雰囲気で、竹田さんと林さんの対談や、林さんのピアニカ演奏や歌、林さんのピアノ伴奏による会場の皆の歌なども入って、とても楽しいものでした。
 私が今回のコンサートに足を運んでみようと思った理由は、林光氏のファンであることももちろんですが、当日のプログラムの副題が「賢治さんの波うちぎわ」とされているように、宮澤賢治の詩に林さんが曲を付けた歌が、(初演も含め)たくさん歌われることになっていたからです。

 竹田恵子さんの歌は、昔「こんにゃく座」で聴いたことはあったのですが、あらためてソロで体験すると、その練り上げられた声と、小さな身体からほとばしるような表現力に、圧倒されるような感覚でした。
 書道家が、二次元の白い半紙を表現の「場」として創作を行うがごとく、竹田さんは、東京文化会館小ホールという三次元空間に、あたかも大きな筆で雄渾な(時に繊細な)文字を書いていくように、言葉や旋律を連ねていくみたいだな・・・と思って聴いていました。
 それにしても、「歩行について」の終曲「すきとほってゆれてゐるのは」(「小岩井農場」パート九より)は、あらためて本当に感動的な歌です。

 またロビーでは、昨年の10月以来、東京の賢治研究会の何人かの方々と再会できたことも、思わぬ喜びでした。