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賢治~佐藤惣之助~阪神タイガース

 1924年(大正13年)4月に出版された『春と修羅』は、中央文壇で話題になることはほとんどなかったようですが、辻潤とならんで最も早期にこの風変わりな詩集を取り上げた人として、詩人の佐藤惣之助がいました。
 佐藤惣之助は、1924年(大正13年)12月刊行の詩誌『日本詩人』の、「十三年度の詩集」という一年を回顧するコラムにおいて、次にように書いています。

(前略…有名な詩人の動きについて概観したあと)
 とまあ、一口評ですませば以上である。が、僕の云ひたいのは、渡辺渡と宮沢賢治である。前述の人人は相応に評価され詩集も分布されてゐやう。しかし「天上の砂」と「春と修羅」はあまりに読まれてゐない。
 僕は再度、その二詩集を繙いた。今日の読書が収穫の喜びに代る。
(中略…渡辺の「天上の砂」評)
 それに「春と修羅」。この詩集はいちばん僕を驚かした。何故ならば彼は詩壇に流布されてゐる一個の語彙も所有してゐない。否、かつて文学書に現はれた一聯の語藻をも持つてはゐない。彼は気象学、鉱物学、植物学、地質学で詩を書いた。奇犀、冷徹、その類を見ない。以上の二詩集をもって、僕は十三年の最大収穫とする。そして僕の貧しい書架を覆して、今日は独り詩集祭を修した。よし、日もたけた。気も倦むだ。より己れに鞭打つて、裏の枯野を歩くとしやう。(十一月六日)

 また、佐藤惣之助は1928年(昭和3年)3月発行の『詩之家』においても、次のように書いています。

  「銅鑼」はよき詩人をもつ
 草野心平君の主宰する「銅鑼」はよき詩人をもつ。最近坂本遼君を出したが、まだ宮沢賢治君をもつ。同君の氷のコロナの詩を久しぶりで読むだが異色あるものだ。宮沢賢治を讃するに吝ならざれ。

 この時に佐藤が読んだ作品は、「氷のコロナ」という言葉から察するに、『銅鑼』第十三号(1928年2月1日発行)に掲載された、「氷質のジヨウ談」のようですね。
 賢治全集の「年譜」には、1926年12月に賢治が上京した際、「川崎の佐藤惣之助のもとも訪れたか。」との推定記事が記されています。詩壇における自分の数少ない理解者に、会ってみたかったのでしょうか。


 さて、佐藤惣之助は、『正義の兜』『狂へる歌』という二冊の詩集を刊行した正統派の詩人でしたが、後年には、「赤城の子守歌」や「人生劇場」など、大流行した歌謡曲の作詞者として、より知られるようになります。

 そして、彼が作詞した曲の中で、21世紀の現代に最もよく歌われている歌としては、実は「阪神タイガースの歌(六甲おろし)」があるのです。昨夜もこの歌は、関西地方を中心として、たくさんの人に歌われたでしょう。
 ということで、昨夜、阪神が今シーズン初めて首位に立ったことを記念して、この歌をアップします。歌手は、一番が初音ミク、二番が Kaito、三番がミク+Meiko+Kaito です。

「阪神タイガースの歌(六甲おろし)」(MP3: 2.87MB)

阪神タイガース                    作詞/佐藤惣之助
                   作曲/古関 裕而

一、六甲颪に颯爽と 蒼天翔ける日輪の
   青春の覇気美しく 輝く我が名ぞ阪神タイガース
   オゥオゥオゥオゥ 阪神タイガース フレーフレフレフレー

二、闘志溌剌起つや今  熱血既に敵を衝く
   獣王の意気高らかに 無敵の我等ぞ阪神タイガース
   オゥオゥオゥオゥ 阪神タイガース フレーフレフレフレー

三、鉄腕強打幾千度び 鍛えてここに甲子園
   勝利に燃ゆる栄冠は 輝く我等ぞ阪神タイガース
   オゥオゥオゥオゥ 阪神タイガース フレーフレフレフレー