Home ⇒ [賢治紀行2006年09月] ⇒ 賢治祭2006

賢治祭2006

 けっきょく睡眠はあまりとれぬままに5時半頃に起床して、京都駅から6時48分発の「のぞみ」に乗りました。幸いにも、すっきりとした秋晴れの朝です。
 東京には9時すぎに着いて、「はやて」に乗り換え、車中ではだいたい寝ていました。新花巻に着いたのは11時47分でしたから、道中はぴったり5時間です。

 新幹線を降りると駅前の「山猫軒」で昼食をとって、タクシーで花巻農業高校に向かいました。 校内の「第二体育館」で、「賢治先生を偲ぶ会」が朝9時から行われているということでそちらへ向かったのですが、体育館が近づくと、「精神歌」の合唱が聞こえてきます。まさに、最後のプログラムが始まったところでした。
 会場へ滑り込んで、二番の途中から歌に加わって、少しだけ写真を写しました。

賢治先生を偲ぶ会

 体育館でのプログラムが終了すると、会場におられたお知り合いに2人ほどあいさつをして、「羅須庭園」の方に向かいました。

 賢治銅像ここには、すでに除幕式のすんだ「賢治銅像」が、どっしりと立っていました。あの有名な、ベートーヴェンを真似たスタイルの写真をもとにした立像ですが、三次元の像となると、いろんな方向から眺めることができてしまうので、あの写真を見慣れた者からすると、ちょっと不思議な感じです。これまで見られなかったようないろんな賢治さんの表情が見えます。
 私があちこちから眺めたり写真を撮ったりしていると、女生徒が2人、「あれって1000万円かかったんだって…」と小声で話しながら通りすぎていきました。私には、真偽のほどはわかりません。

 いずれにしても、存在感あふれる「賢治先生」の姿が新たにここに出現したことによって、彼のファンにとってはまた一つ見逃せないスポットが生まれたことは、間違いありません。

 この後、羅須庭園で高校生たちによる鹿踊りを見学して、それからいったんホテルに荷物を下ろして、3時半頃から詩碑前広場に向かいました。

 今年の賢治祭については、またいずれきちんとした報告ページを作らなければならないのかもしれませんが、私にとってはこれまで何回か参加してきた中で、最も感動的で印象深い回となりました。
 雲一つない降るような星空に恵まれたおかげもありますし、「賢治銅像」を作られた彫刻家の橋本堅太郎さんのお話の素晴らしさもあったでしょうが、それに加えて、藤原真理さんによる「賢治旧蔵チェロ」を用いた演奏が、圧巻でした。

 本当に信じられないことですが、今晩の藤原真理さんは、ふだんは賢治記念館のガラスケースの中に収められている賢治が所蔵していたチェロそのものを、花巻市の許可を得て借り出し、演奏に使用されたのです。数十年もきちんと演奏家によって手入れもされていない楽器を、急に生演奏に使うなどとは、無謀なことのように思えますが、しかしこの賢治のチェロは、今晩藤原真理さんによって、驚くほどの素晴らしい音色を引き出されたのです。
 「弘法は筆を選ばず」とは言いますが、失礼ながら私などはほとんど骨董的価値しかないのではないかと思っていた「賢治のチェロ」から、数十年の時を経て美しい音楽が流れ出すと、何かの奇跡に立ち会っているような感覚にとらわれました。

 藤原真理 in 賢治祭2006

 藤原さんは、最後の「精神歌」の全員合唱の時にもチェロで伴奏をして下さって、これは参加者皆にとって、素晴らしく贅沢な精神歌でした。

 第一部が終わると、ミーハーの私は真理さんを追いかけて、このために持参したCD「風のかたみー宮澤賢治へのオマージュ」に、サインをしてもらいました。20数年前の大学オケとの共演のことも彼女はちゃんと憶えて下さっていて、あの頃と同じように優雅に美しく、彼女はサインをしてくれました。

藤原真理 le 21 septembre 2006


 あと下の写真は、今日3回目の公演となる花巻農業高校鹿踊り部と、「劇団らあす」による野外劇「風の又三郎」の一場面です。

2006賢治祭