7月17日の札幌セミナーの時に、旭川の石本裕之さんにいただいたご著書です。
セミナーの直前ぎりぎりに刷り上がったというほやほやの新著で、私はさっそくこの日の午後に、札幌駅の裏の広場に腰かけて、北海道の空気と一緒に味わいながら読ませていただきました。夏の昼間に太陽の下で読書をするなど、私の生活している関西地方では考えられないことですが、自動販売機で買ったお茶を飲んでいると、時にあたりをすがすがしい風も吹いていきました。
というわけで、私はこの本を、札幌の青い空とさわやかな光と、セミナーの参加者の皆と歩いた街角の記憶とともに、パッケージして伊丹空港まで持って帰ることができたのです。
さて、本書の構成は、次のようになっています。
・<賢治カクテル> ―「はしがき」にかえて―
・賢治と「札幌市」
・馬は噛み、馬は冷たく ―賢治、修学旅行引率前後の詩―
・二つの「津軽海峡」
・宮沢賢治立ち寄り地 ―生誕百年・旭川周辺―
・鳥の遷移 ―賢治詩において鳥が投影すること―
・宮沢賢治の1923(大正12)年
・雨ニモマケズと論語
・タネリの地勢
冒頭の<賢治カクテル>という随想は、私がまだ石本さんにお出会いするよりも前に、宮沢賢治学会会報で拝見して記憶していた、ロマンティックな小文です。
もとは、「旭川賢治研究会」の紹介として書かれた1ページの言葉は、「北海道における宮沢賢治」を探索するこの本の旅の出発を告げる「ふしぎな声」のように響き、気がついてみると、私たちもさっきから、ごとごとごとごと、小さな列車に乗って一緒に走っているのでした。
(この項つづく)
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