イーハトーブアベニュー「詩座」







 

1.テキスト

青りんご
すこしならべて
 つつましく
まなこをつむる
露店のわかもの

ある星は
われのみひとり
大空を
うたがひ行くと
なみだぐみたり

鬼ぐるみ
黄金のあかごを
吐かんとて
波立つ枝を
あさひに延ばす

2.出典

歌稿〔A〕 209
歌稿〔B〕 406
歌稿〔B〕 755

4.所在地

盛岡市材木町 「イーハトーブアベニュー」

5.碑について

 盛岡市材木町の「光原社」の前の通りは、「イーハトーブアベニュー」と名づけられて、「宮澤賢治坐像」などさまざまなオブジェが据えられています。
 これもそのようなオブジェの一つです。下の写真のように、木づくりのベンチに、かわいい絵と賢治の短歌を焼き付けた三枚の陶板がはめ込まれています。

 三首の短歌は、上からそれぞれ、盛岡高等農林学校入学前の18才、在学中の20才、卒業後の24才の時の作品で、賢治の歌作人生の三つの時期からとられています。
 題材も、「りんご」、「星」、「くるみ」という、いかにも賢治らしいテーマです。