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「川ふたつ」詩碑

1.テキスト

川ふたつ
 ここに集(つど)ひて
 はてしなく
  萌ゆる水沫(うたかた)

    宮沢賢治
                心平

2.出典

〔二山の瓜を運びて〕(下書稿(四))」(『文語詩稿 一百篇』)より

3.建立/除幕日

1983年(昭和58年)7月18日 建立/除幕

4.所在地

花巻市小瀬川 落合橋畔(瀬川・鍋割川合流地点)

5.碑について

 1979年の7月と8月に、二度にわたって岩手県地方を襲った未曾有の集中豪雨は、花巻市北部を流れる瀬川と鍋割川の両河川の堤防を数ヵ所で決壊させ、家屋の浸水、田畑の冠水などの大災害を引き起こしました。花巻市はこれを受けて、国と県に治水事業の陳情を行った結果、県施工の災害復旧事業として1979年から1982年までの4ヵ年計画で、延べ7kmの護岸工事が行われました。
 それまで何度も水害に苦しめられてきた流域住民にとっては、これは「積年の悲願の成就」だったということです。
 「この碑は多くの人々の慶びを記念し永く世の人々に伝えるため、宮沢賢治が川にちなんでよんだ詩を、詩人草野心平の揮毫によって記し建立したものです」という一文が、詩碑建立の趣旨として、この碑の裏面に刻まれています。

 賢治のこの作品は、このような荒ぶる川の恐ろしさとは対照的に、川に浮かべた舟と、老人と幼子の微笑ましい情景を描いています。
 その描写の何気ない背景として、ここで二つの川が合流している場面が用いられているわけです。賢治が、この「川の合流」という現象に対して独特の思い入れを抱いていたのではないかという話については、「二川こゝにて会したり」詩碑の項をご参照ください。

 碑は、花巻市街から花巻温泉に向かう県道を車で行くと、瀬川にかかった落合橋を渡る手前右側にあります。自転車で行くなら、花巻温泉行きのサイクリングロードを通っていくのが便利です。


瀬川(右)と鍋割川(左)の合流点