Home ⇒ [雑記2017年03月] ⇒ 萩京子作曲「ケンタウルス 露をふらせ」

萩京子作曲「ケンタウルス 露をふらせ」

  • 内容分類: 雑記

 3月9日に、オペラシアターこんにゃく座による公演「想稿・銀河鉄道の夜」を観てから、「ケンタウルス、露をふらせ!」という萩京子さんの曲がずっと頭の中で流れつづけていたので、当日購入したパンフレットに掲載されているその楽譜をもとに、この曲の VOCALOID 版を作成してみました。
 「想稿・銀河鉄道の夜」は、賢治の原作を尊重しながらも北村想さんが「自分の読みを刻ん」だ劇ですが、物語の前半で「ケンタウル祭」の晩に、子どもたちはみんな嬉しさいっぱいで、この歌を唄います。

 それにしても、賢治による「ケンタウルス、露をふらせ」のかけ声に、北村さんが加えた「子どもたちの髪をぬらせ」という一節は、この物語の悲劇的な側面を暗示しているようでもあり、不思議な雰囲気を醸成しています。
 と言うのも、この物語において「ぬれて」いるということは、カムパネルラが「ぬれたやうにまっ黒な上着をきた、せいの高い子供」として登場し、途中から乗車した小さな男の子が「ちぢれてぬれた頭」「ぬれたやうな黒い髪」をしていることに表れているように、水難事故の死者の表徴でもあるのです。
 萩京子さんによる、楽しげだけれど一抹の寂しさも漂う曲想が、その雰囲気にぴったりと寄り添っています。

 下のファイルの歌は、VOCALOID の Mew、初音ミク、Kaito で、二番の冒頭のソロは、Mew です。本番では、伴奏にクラリネットとチェロも加わってさらに色彩豊かな音楽でしたが、ここではパンフレット掲載の楽譜に従って、伴奏はピアノのみになっています。かわりというわけではありませんが、「ケンタウルス!」の部分に、「露」のイメージで「鈴」を入れてみました。

ケンタウルス 露をふらせ

               詩: 北村 想  曲: 萩 京子
一、星の祭の夜は
  星座表から星が空に帰る
  白鳥は舞い
  琴は奏で
  天秤は揺れ
  かんむり輝く
  ケンタウルス 露をふらせ
  子どもたちの髪をぬらせ

二、星の祭の夜は
  星座表から星が空に帰る
  牛飼いは歩き
  竜はうねり
  鷲は飛び
  蠍は跳ねる
  ケンタウルス 露をふらせ
  子どもたちの髪をぬらせ
  ケンタウルス 露をふらせ
  子どもたちの髪をぬらせ

萩京子「ケンタウルス 露をふらせ」
オペラ「想稿・銀河鉄道の夜」公演パンフレットより