11月29日(日)に行う、「第7回イーハトーブ・プロジェクトin京都―宮沢賢治の「悲嘆の仕事(グリーフ・ワーク)」まで、あと3週間となりました。
今回のプログラムは、竹崎利信さんによる賢治作品の「かたり」の合間に、私が「解説」をはさむという形になっていますので、竹崎さんと私とで合同の「稽古」を、竹崎さんのご自宅のある宝塚市で、これまで3回行いました。だんだんとイメージが具体的な姿をとってで現れてくるにしたがって、私たちとしてもますます当日が楽しみになっているところです。
全体のプログラムは、チラシにある当初の予定から少しだけ変わって、下記のようになりました。
1.死ぬことの向ふ側まで一諸について・・・
ひかりの素足(部分)
イギリス海岸(部分)2.臨終の日
永訣の朝
松の針
無声慟哭(休憩)
3.探索行動・深層意識の言語化
風林
青森挽歌
宗谷挽歌4.現実との相克から内心の葛藤へ
手紙 四
宗教風の恋5.「死者とともにある」
この森を通りぬければ
薤露青
銀河鉄道の夜(部分)
竹崎利信さんによる美しい「かたり」によって作品を鑑賞しつつ、トシの闘病中、臨終の床、死後、と順を追って、賢治の「心の軌跡」をたどるという企画です。
日時は、11月29日(日)の午後2時から、場所は、京都市上京区の京都府庁敷地内にある、「府庁旧本館正庁」で行います。
会場として使用させていただく「京都府庁旧本館正庁」は、明治時代に建てれた国の重要文化財で、これをご覧いただくだけでも、かなりの価値はあると思います。
今のところまだ席に余裕はありますが、「当日券」は設けていません。私あてにメールをしていただければ、予約をお取りいたしますので、行ってみようかと思われる方は、メールをいただければ幸いです。
さて下の絵は、当日の配付資料の最後のページに載せる予定のものです。今回のプログラム最初の「ひかりの素足」と、最後の「銀河鉄道の夜」とは、ちょうど相似形の構造になっているのですが、催し全体のテーマも、やはり同型だということを表しています。
ゆき
初冬の午後、会場となった京都府庁旧本館正庁の南側を向く三つの丸い天窓から、曇り空の弱い陽がさびしく差し込み、すっかり暗くなるまでの時間を、大切に過ごすことができました。ありがとうございました。
『銀河鉄道の夜』が賢治の悲嘆の仕事の結晶として、やわらかに迫りきます。
「宗教風の恋」の最後にある「両方の空間が二重になっているところ」に佇むことの危うさと、そこを求めずにいられない悩ましい揺れを、本当は誰もが経験しているのかもしれませんね。
危ういのかもしれませんが、大切にしたい時間であり、空間であるような気がします。
hamagaki
ゆき様、先日は私どもの催しにお越しいただきまして、本当にありがとうございました。
今回の企画は、最近私が賢治の作品を読みながら考えていたことを、竹崎さんの「かたり」とともにお届けするという趣向で、かなり私の個人的な見方も入っていたと思いますが、お楽しみいただけましたら幸いです。
それにしても、「宗教風の恋」の「両方の空間が二重になっているところ」という言葉からは、ご指摘のように「危うさと、そこを求めずにいられない悩ましい揺れ」も感じますね。
思い返せば「春と修羅」にも、「すべて二重の風景を/喪神の森の梢から/ひらめいてとびたつからす」という一節がありました。
賢治という人も、それでもどうしても、この二重になっているところに行こうとしてしまう性向があったのかもしれません。
会場のあの三つの丸い天窓は、私も印象に残りました。
客席がちょっと横長になってしまったのは難点なのですが、あの窓を正面に設定してみてよかったと思います。
今後ともよろしくお願い申し上げます。