近刊『賢治学【第1輯】』

 岩手大学宮澤賢治センターから近く刊行される、『賢治学【第1輯】』が、手元に届きました。発売日は6月10日ということで、アマゾンからも予約注文が可能となっています。

賢治学第1輯: 特集 岩手大学と宮澤賢治 賢治学第1輯: 特集 岩手大学と宮澤賢治
岩手大学宮澤賢治センター (編集)
東海大学出版部 (2014/6/10)
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 目次は、以下のとおりです。

『賢治学』創刊に寄せて (藤井克己)
『賢治学』発刊にあたって (山本昭彦)

特集 岩手大学と宮澤賢治
  賢治学のスタートは賢治さんの「よーさん」と同等 (鈴木幸一)
  『盛岡附近地質調査報文』―宮澤賢治と盛岡附近地質調査
  (亀井 茂)
  旧盛岡高等農林学校本館(現農学部附属農業教育資料館)と
  宮澤賢治 (若尾紀夫)
  盛岡高等農林学校における賢治の文芸的営みのほとんどは
  「短歌」であった―『宮澤賢治全短歌鑑賞』を展望しながら
  (望月善次)
  「アザリアの咲くとき」展をふりかえって (岡田幸助)

コラム それぞれの賢治
  イーハトーブ温泉学拾遺―大沢温泉 (岡村民夫)
  「茶話会」と「賢治と音楽を楽しむ会」を担当して (姉歯武司)
  強さと感謝について (上野火山)
  盛岡高等農林学校のおいしそうなものたち (中野由貴)
  三陸沿岸の賢治詩碑群 (浜垣誠司)

宮澤賢治センター通信より
  尾形亀之助と宮澤賢治 (吉田美和子)
  賢治と震災 (牛崎敏哉)
  草野心平・黄瀛と宮沢賢治 (佐藤竜一)
  宮澤賢治『春と修羅』の恋について、続報 (澤口たまみ)

フォーラム「賢治学」
  羅須地人協会と新しき村―主としてその差違をめぐって
  (吉村悠介)
  『銀河鉄道の夜』の天路歴程とホーソン『天国鉄道』―ジョバンニ
  の「乳の道」
(松元季久代)
  宮澤賢治 影への射程―アンデルセン童話という回路をめぐって
  (木村直弘)
  『賢治とイーハトーブの「豊饒学」』(大河書房) (塩谷昌弘)

編集後記 (編集子一同)


 目次に並ぶ著者の方々のお名前は、これまでのオーソドックスな賢治研究アンソロジーで見慣れたものとは、やや趣が異なっていますね。そしてその中身も、ひと味違った感じです。
 「被災した街の復興には、広場の機能が不可欠だと言われている」という文章に始まる「編集後記」も、心に沁みるものでした。

 この『賢治学』は、そのような「広場」の機能を果たすものとして、これから毎年1冊ずつ刊行される予定だということで、巻末には「投稿規定」も掲載されています。
 大学というものをめぐる昨今の情勢から、岩手大学宮澤賢治センターの運営にもいろいろとご苦労があったということですが、この『賢治学』が、「…そこへ夜行って歌へば、またそこで風を吸へばもう元気がついて…」という広場へと発展していくことを、お祈りしたいと思います。