「石碑の部屋」に、先日見に行ってきた「気のいい火山弾」碑をアップしました。童話の中に出てくる、「ベゴ石」の歌を刻んだ碑です。
その碑版の文字は、柳沢小学校の1年から4年の児童26名が分担して書いたということで、かわいらしい雰囲気が出ていますね。
ところでこの「気のいい火山弾」という作品は、デクノボウ像を描いた童話として「虔十公園林」と並べて論じられることが多いようで、たしかに周囲の皆から馬鹿にされても一向気にしない「超お人好し」の様子は、「ミンナニデクノボートヨバレ/ホメラレモセズ/クニモサレズ・・・」という感じです。
ただ、この「ベゴ石」と呼ばれる火山弾が東大の学者たちによって標本として持ち去られる時、
「みなさん。ながながお世話でした。苔さん。さよなら。さっきの歌を、あとで一ぺんでもうたって下さい。私の行くところは、こゝのやうに明るい楽しいところではありません。けれども、私共は、みんな、自分でできることをしなければなりません。さよなら。みなさん。」
と言い残す言葉は、まさにこれから死にゆく人が述べる「遺言」のようです。そして、この場所を去った後の「私の行くところは、・・・」という表現は、まるで自分の「輪廻転生」の先を言っているかのように聴こえるんですね。
そのように因果がめぐる世界の中でも、「みんな、自分でできることをしなければなりません」というのが、作者が作品に込めた仏教的なメッセージなのかと思ったりしました。
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