「気のいい火山弾」碑
1.テキスト
お空。お空。お空のちゝは、
つめたい雨の ザァザザザ、
かしはのしずくトンテントン、
まっしろきりのポッシャントン。
お空。お空。お空のひかり、
おてんとさまは、カンカンカン、
月のあかりは、ツンツンツン、
ほしのひかりの、ピッカリコ。
宮澤賢治 「気のいい火山弾」より
~ベゴ石の作った歌~
柳沢小学校児童による書
2.出典
童話「気のいい火山弾」より
3.建立/除幕日
2007年(平成19年)10月26日 建立/除幕
4.所在地
岩手県滝沢市柳沢1171 柳沢小中学校校庭
5.碑について
2007年10月26日、滝沢村柳沢地区にある柳沢小中学校の校庭の片隅で、童話「気のいい火山弾」の一節を刻んだ碑が除幕されました。当日は、小学5・6年生14人が、「気のいい火山弾」の劇も披露したということです。
岩手山のすぐ麓にあり、現在は小中学校合わせて全校の児童・生徒が71人という柳沢小中学校ですが、その歴史をさかのぼると、少なくとも1906年から岩手山神社の社務所において行われていた授業に行き着くそうです。これを起点とすれば、2006年が同校の創立100周年にあたるので、この機会に宮澤賢治とゆかりのある柳沢地区の良さを見直そうと考えた住民有志は、2007年5月から同校に賢治の文学碑を作るための発起人会を組織し、準備を進めてこられました。
そしてそれから半年もたたないうちに、この碑が完成したのです。生前の賢治が愛し、しばしば訪れて多くの作品の舞台にもなった「柳沢」の地が、ここに記念の碑を持つことになりました。
碑は、童話に出てくる「ベゴ石」をイメージしたという二つの火山岩と、童話の中で「ベゴ石」が唄うかわいい歌を刻んだ金属プレートを、御影石の台にはめ込んだ部分からできています。二つの岩には、それぞれ黒い碁石のような「目」が付けられていて、微笑ましい親子のような感じで並んでいます。「ベゴ」ですから牛の親子ですね。ただ、その形からしてこれらの岩は「火山弾」ではないようで、どちらかというとこの童話に出てくる「稜のある石」の方に近い感じです。
ベゴ石の歌のテキストの部分は、同校の小学1年から4年までの児童26名が書いたということで、これまたとてもかわいらしい雰囲気です。
岩手山の火口からは水平直線距離にして約7.4kmのところにある柳沢小中学校ですが、大規模な噴火なら、大きな火山弾も飛来しうる場所のだったでしょう。
私が訪ねた日には、あいにく岩手山はほとんど雲に隠れて、下の写真のように体育館の後ろに裾野のごく一部だけが、かろうじて見えていました。
ふだんは児童生徒たちは、この校庭からいつも雄大な山容を仰ぎ見ているのでしょうね。
碑と柳沢小中学校