「農民芸術概論綱要」碑

p_171.jpg

1.テキスト

世界がぜんたい
 幸福にならないうちは
個人の幸福は
   あり得ない
 賢治      北流

平成二十三年十一月三日叙勲記念
   瑞寶小綬章受章 千田悦三郎
   野尻第二十代当主 千田和之郎 建之

農民芸術概論綱要・序論 より

2.出典

「農民芸術概論綱要」

3.建立/除幕日

2011年(平成23年)11月3日 建立

4.所在地

岩手県気仙郡住田町世田米 瀬音橋畔

5.碑について

 この碑のすぐ隣には、2002年に建立された「雨ニモマケズ」詩碑があります。どちらの碑も、この住田町世田米地区のご出身の、千田悦三郎氏が建立されました。

 「雨ニモマケズ」詩碑の方は、碑の裏面に「ふるさとに感謝をこめて」と書かれているのに対して、こちらの碑には、「平成二十三年十一月三日叙勲記念/瑞寶小綬章受章 千田悦三郎」と刻まれており、千田悦三郎氏の叙勲を記念した建碑であるようです。
 千田悦三郎氏は、長年にわたって岩手県警に勤務され、水沢署や岩手県警本部に在職しておられたということです。

 この碑のある住田町世田米地区は、三陸沿岸の大船渡市盛から、種山ヶ原、人首町を経て、内陸の水沢を結ぶ、さかり街道の重要な宿場町でした。気仙川が大きくカーブする小さな平野地にある「世田米駅」という地区は、下写真のような町並みで、いかにも「昔の宿場町」という風情が、今も残っています。

p_101c.jpg

 後ろの気仙川の方から眺めると、下写真のように白壁の蔵が並んでいて、往時の隆盛を偲ばせます。

p_101d.jpg

 この盛街道の西半分の方で、種山ヶ原から人首、江刺、水沢に至る部分は、賢治も何度か歩いています。
 「人首町(下書稿(二)」では、この街道は「広田湾から十八里/水沢へ七里の道」として登場し、その賑やかな様子は、「藻類の行商人や/税務署の濁密係り/みな藍靛の影を引いて/つぎつぎ町を出てくれば……」と描かれています。

p_171a.jpg