先日以来なぜか DTM づいていて、今度は以前に作った鈴木輝昭氏の「星めぐりの歌」を、作り直してみました。
これは、鈴木氏が1988年に作曲したオペラ「双子の星」の中の劇中歌を、後に自らピアノ伴奏に編曲して、「童声(女声)合唱とピアノのための イーハトーヴ組曲」の中の一曲としたものです。
曲は、カノンのように(星めぐりのように?)繰り返される賢治の詞を、ピアノが自由に彩っていきます。
童声(女声)合唱とピアノのための「星めぐりの歌」(鈴木輝昭作曲)
あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の つばさ
あおいめだまの 小いぬ、
ひかりのへびの とぐろ。
オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす、
アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち
おおぐまのあしを きたに
五つのばした ところ。
小熊のひたひの うへは
そらのめぐりの めあて。
鈴木輝昭氏の「イーハトーヴ組曲」は、いずれも賢治の童話の中のテキストに基づいて作曲され、「星めぐりの歌」、「水仙月の四日」、「風の又三郎」、「十力の金剛石」、「シグナルとシグナレス」、「ポラーノの広場」の6曲で構成されています。
鈴木氏はこの組曲について、楽譜の冒頭で次のように述べておられます。
テキストとなる詩は、全て物語の或るシーンの描写であるため、自立した完結性、劇性が幾分希薄です。そかしそれゆえに、音そのものの指向性の様々な在り方を追求することが許されます。音楽の生成に絵画的な感覚を投影すること、音像に明確な形を持ち、音に光度、色彩を意識すること、など作曲上の可能性を探りました。
賢治の詩には、地球という生命体の放つエネルギーと悲哀を含んだロマンが感じられます。人と地球と宇宙と、一つに貫かれた思想と多層的な世界観が幻想的なアラベスクを織りなしています。賢治の言葉は多くのイマジネーションを与えてくれます。しかしそれは単に言葉ではなく、既にその向こう側にあるものを、私たちに訴えかけてきます。音もまた、言葉の枠を超えて五感を通り抜ける全て、を聴きとりたいという思いで筆を進めました。
演奏で使用した音源は、ボーカルが初音ミクV4X(SOFT)、東北ずん子(ナチュラル)、LUMi、Mew、VY1、ピアノが Ivory II Steinway D Concert Grand です。
童声(女声)合唱とピアノのための イーハトーヴ組曲 宮沢賢治 (著), 鈴木輝昭 (著) 河合楽器製作所・出版事業部 (2007/4/20) Amazonで詳しく見る |
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