京大で「宮沢賢治と鉱物」講演会

 現在、京都大学総合博物館では、「地の宝II 比企鉱物標本」という企画展が行われていますが、関連した催し一環として、来たる9月15日(日)に同博物館で、「宮沢賢治と鉱物」と題した講演会が行われます。

日時: 9月15日(日) 14:00~15:00
タイトル: 「宮沢賢治と鉱物」
演者: 桜井 弘(京都薬科大学名誉教授)

 講師の桜井弘さんは、賢治の作品に出てくる45の元素を、美しい鉱物写真とともに周期律の順に配列した、『宮沢賢治の元素図鑑』(化学同人)を、昨年刊行された化学者で、賢治の作品に対する愛情は、この本の隅々にまで充ちあふれています。ちなみに、賢治の本来の専攻分野は「化学(農芸化学)」でしたが、桜井さんも「化学」がご専門で、なおかつ「鉱物学」や「地質学」の造詣も深いというところも共通しており、科学者としてのスタンスに何か響き合うものがあるのかもしれません。
 講演の終了後には、「展示解説ツアーも開催されるということで、これはとても楽しみな企画だと思います。

宮沢賢治の元素図鑑ー作品を彩る元素と鉱物 宮沢賢治の元素図鑑ー作品を彩る元素と鉱物
桜井 弘 (著), 豊 遥秋 (写真)
化学同人 (2018/6/6)
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 ところで今回の企画展は、明治・大正時代に京都帝国大学教授を務めた比企忠が収集した貴重な鉱物標本を展示するもので、企画展のウェブページでは、下記のように説明されています。

企画展「地の宝II 比企忠鉱物標本」 京都大学総合博物館には、京都帝国大学時代から100年をかけて集められた2万点以上もの鉱物標本が収蔵されています。なかでも工学部由来の比企(ひき)鉱物標本は、現代では入手することのできない、国内では最高峰の鉱物コレクションです。これらの鉱物標本の持つ迫力や美しさは圧倒的で、まさに自然が作り出した「地の宝」といえるでしょう。工学部採鉱冶金学科の教授であった比企忠(ひきただす)は日本中、世界中から鉱物・鉱石を集めており、当時その標本室を見たものからは国宝とも称されていました。その後、比企の鉱物コレクションの存在は学術界からさえも長年忘れ去られていましたが、工学部、そして総合博物館へと丁重に引き継がれてきました。整理を進めていると、すべての標本に比企の手書きのラベルが添えられており、比企忠という研究者の姿や比企が標本に込めた想いまでもが現代によみがえるかのようでした。多くの金属鉱山が閉山した現代の日本ではこれらの標本が持つ学術的な価値はかけがえのないものです。

 これだけでも、鉱物好きの方にとってはまたとない機会でしょう。
 場所は、百万遍の交差点から東大路をすぐ南で、電車の最寄り駅は、京阪の「出町柳」です。

京都大学総合博物館地図