9月4日から16日まで、京都市中京区のギャラリー・ヒルゲートにて、司修展「宮澤賢治の世界」~賢治の東北への思い~ が、開かれています。
私は今日少しだけのぞいて来たのですが、ポプラ社からこの夏に刊行されたばかりの絵本『グスコーブドリの伝記』の原画を中心に、他にも「銀河鉄道の夜」や「雁の童子」や「注文の多い料理店」などの作品世界を描いた幻想的な水彩画、パステル画、版画が、展示されています。
司氏が描く「グスコーブドリの伝記」の世界は、まるで海中都市のように青く、静かで、寂しげで、これはまるで昨年の大津波を経験したイーハトーブを象徴しているかのようにも感じられました。
実際、本年1月に大佛次郎賞を受賞された司氏は、受賞スピーチの中で、ご自身が中学生の頃に海で溺れて死にそうになり、「死者の霊」を感じた体験を述べておられます。そして話の締めくくりには、「この前も、今度も、大震災に遭遇した子どもたちは、「生きている」という、大きな経験をされたように思います」と語られました。
また、昨年の震災の後、司氏は「今、賢治が生きていたら、どう思うだろう」と考えた述べておられ、今回の「宮澤賢治の世界」展にも、「賢治の東北への思い」と副題が付けられています。
これは今、まさにこの時期の私たちの心象世界に広がる、「グスコーブドリの伝記」というような気もします。
9月8日(土)の午後7時からは、ギャラリー・ヒルゲートにおいて、司修氏による「夜話講座 宮澤賢治の世界」も開かれます。これは、参加費2000円、定員40名で、要予約です。
司 修 展 「宮澤賢治の世界」 ~賢治の東北への思い~
9月4日(火)~9月16日(日) 12:00~19:00
<9月10日(月)休館,最終日は17:00まで>ギャラリー・ヒルゲート:京都市中京区寺町通り三条上ル西側
Tel. 075-231-3702夜話講座「宮澤賢治の世界」:9月8日(土) 午後7時ー8時半
参加費2000円/茶菓付 定員40名・要予約
私はこの司修氏のお話も、聴きに行こうかと思っています。
司修氏が大佛次郎賞を受賞した『本の魔法』は、装幀家としての司氏が、島尾敏雄『死の棘』、武田泰淳『富士』、『埴谷雄高全集』、中上健次『岬』など戦後を代表する文学作品の装幀を、「本に魔法をかけられながら」手がけてきた体験をつづったものでした。
今回、ポプラ社から刊行された絵本『グスコーブドリの伝記』は、その受賞後第一作にあたります。
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