賢治学会冬季セミナー・春季セミナー

 宮沢賢治学会イーハトーブセンターから、今年の冬季セミナーと来年の春季セミナーの案内が届きました。

 冬季セミナーは、11月26日(土)~27日(日)に花巻のイーハトーブ館において、「東北砕石工場と宮沢賢治」というテーマで行われます。1日目には、当時の工場長鈴木東蔵氏の四男である鈴木豊氏のお話、2日目には『宮沢賢治 東北砕石工場技師論』などの著書のある佐藤通雅氏の講演、最後に水沢市の国立天文台水沢観測所へのバスツアー、という構成です。

 春季セミナーは、2006年3月25日(土)~26日(日)に花巻温泉の「千秋閣」において、「極東ビヂテリアン大祭 ~宮沢賢治と温泉~」というテーマで行われます。1日目には、シンポジウム「リゾートとしてのイーハトーブ」、花巻温泉「松雲閣」の特別公開、2日目にはシンポジウム「ベジタリアン宮沢賢治 ―イーハトーブの豊かな雑穀文化」が行われます。

 奇しくもどちらのセミナーにも、賢治にゆかりがあってもうすぐ取り壊される予定の建物を、最後に見ておこうという企画が入っています。冬季セミナーの方では、水沢の「旧緯度観測所本館」、春季セミナーの方では、花巻温泉の旅館「松雲閣」です。

 旧緯度観測所の方は、私は数年前に列車の待ち時間を利用して、水沢駅から急いで行ってみようとしましたが、時間がなく途中で引き返した、という記憶があります。
松雲閣本館 松雲閣に関しては、来年に取り壊しになる建物は、当初は「松雲閣別館」として建てられたもので、最初に建てられた本館(右写真)は、すでに1979年に解体されています。
 賢治の「一九三一年度極東ビヂテリアン大会見聞録」という作品中に登場する「松雲閣」は、はたして本館か別館かどちらだったのでしょうか。作品を見ると、賢治は実際に建物の中に入ったこともあるような感じですね。
 また以前私は、賢治が文語詩「林館開業」という作品で風刺したのは、この「松雲閣(本館)」のことではないかと考えてみたことがありました

 ということで、どちらのセミナーもおもしろそうなのですが、私はスケジュール上いずれも参加はむずかしそうで、残念です。