賢治は、『春と修羅』の出版準備をしていた1923年後半頃に、その原稿の清書のために「丸善特製 二」という原稿用紙を一括購入したと推測されています(右写真)。これは普通の原稿用紙よりも少し大きいB4版で、字数も400字詰めではなく「25字×24行の600字詰め」という、やや変わったものでした。
詩集における文字配置をシミュレートするために、この原稿用紙を二つ折りにすると、『春と修羅』刊行本の1ページの字数・行数そのままになるという形になっています。
当サイトの「『春と修羅』関連草稿一覧」という表において、「清書後手入稿」の大半と、「詩集印刷用原稿」のすべてのテキストは、この「丸善特製 二」原稿用紙に書かれていました。
またこの用紙は、「銀河鉄道の夜」の初期の草稿においても、かなり大量に使われています。丸善のサイトでも、この辺のことについては少し触れられています。
さて、この「丸善のII号原稿用紙」というのは、実は今でも売られているんですね。
現在のものは右写真のようなスタイルになっていて、紙の左下にあるロゴが、賢治の時代とは違うものになっています。しかし、様式は昔と同じ、「25字×24行の600字詰め」で、きっと、この形をずっと愛用している人もおられるのでしょう。
私は、ふだんは文字を原稿用紙に書くということはまったくなくなってしまいましたが、丸善の文房具売り場で賢治が使っていた用紙を見つけて、思わず50枚綴りの冊子を買ってきてしまいました。
明日は、この原稿用紙に関連した話題を書いてみようかと思います。
コメント