賢治学会定期大会(2)

 今日は賢治学会定期大会の2日目として、午前中はイーハトーブ館で「研究発表」が行われたのですが、これはさぼって、 盛岡へ行くことにしました。

 岩手大学農学部に今年の5月に作られたという賢治の石像を見ることが目的だったのですが、 盛岡に着くと雨が降り出しました。急いでタクシーで大学まで行き、キャンパスをしばらくうろうろして、あの旧盛岡高等農林学校本館前に、 ひっそりと石像が立っているのを見つけました。例のうつむいて立つベートーヴェンスタイルの賢治を、平行移動させた軌跡をかたどったような、 おもしろいオブジェです。
 これを写真におさめると、雨の中を駅に戻って、コンコースの立ち食いうどんを食べました。

 午後は、イーハトーブ館で「鬼との遭遇―賢治と鬼のものがたり」という演目を見ました。東北の底流にある「鬼」の民俗学的な系譜と、 賢治が自己の内面から抉り出した「修羅」としての鬼を、縦糸と横糸のように織り上げた幻想的な企画でした。朗読の牛崎志津子さんが、 やっぱり素晴らしかったです。
 そして最後には、北上市の岩崎鬼剣舞が登場して、勇壮な踊りを見せてくれました。下写真は、イーハトーブ館の壇上で、 所狭しと繰り広げられる剣舞です。

 今年度の賢治学会定期大会の予定がすべて終了して、まだ飛行機には時間があったので、空港近くの花巻農業高校にある「羅須庭園」を、 3年ぶりに見に行きました。もう夕暮れは近く、「下ノ畑ニ居リマス」と書かれた建物には誰もいませんでしたが、 私たちの帰りぎわに一人の青年がやってきて、熱心に見ていました。

 来年の9月21日は日曜日のようですから、賢治祭に参加するのは無理のようです。それとも、 賢治祭が終わってから月曜の朝までに京都に帰ってこられるような夜行列車はあるのでしょうか…。