賢治学会定期大会(1)

 ホテルニューオータニを朝6時に出て、東京駅を6時56分発の東北新幹線に乗り、新花巻に10時16分に着きました。駅から 「なはんプラザ」に直行して、今年の「宮沢賢治賞・イーハトーブ賞贈呈式」が始まって30分ほどが経過した会場に、滑り込みました。

 今年の受賞者は、こちらで紹介されているとおりですが、 会場に着いて何よりうれしかったのは、「こんにゃく座」を代表して、作曲家のあの 林 光 さんが来ておられたことです。個人的に、 中学生の頃には林さんの書いた教則本でフルートの練習をしたり、17年前にはオペラ「セロ弾きのゴーシュ」に感激したり、 その間ずっと林さんの書くきりっとした文章のファンでもありました。いわゆる「現代音楽」というものが、 時に独善とも見えるような営みになっているのに対して、林さんの作られる音楽は、 つねに人々に伝えようとするはっきりとしたメッセージを感じるもので、その奥にはいつも透徹した「厳しさと抒情性」 が流れているように思いました。受賞のあいさつでも、あの凛としたお声を聴くことができました。

 午後からは、賢治学会の定期総会の後、「賢治研究リレー講演」として6名の方のお話がありました。黄育紅さんの読む中国語訳の 「雨ニモマケズ」の音韻の美しさ、近藤晴彦さんがご著書から予想したよりも快活なおじさんだったこと、佐藤孝さんによる「なめとこ山の熊」 の舞台の詳細なルートマップなどが印象的でした。
 時間の関係で、「イーハトーブ・サロン─私と賢治」は予定より短時間で終わり、5時からは「会員交流・懇親会」として、 「宮沢賢治をたべる会第三回」が行われました。7月の時に続き、「藁のオムレツ」や「電気葡萄酒」が出されました。「電気葡萄酒」は、 全然おいしくなくていかにも怪しげなところが魅力的です。これと対照的に、「やまなしのお酒」は、美味でした。

 会場でお会いできた 天沢 退二郎 さんに、 2000年のセミナーで天沢さんが企画された朗読を用いたコンテンツをホームページに掲載しても構わないかとお願いしたところ、 快く了承していただくことができました。ということで、近いうちに新たなコーナーをこのサイトにアップしたいと思います。
 懇親会の最後は、ぜいたくにも 林 光 さんの指揮で、「精神歌」を全員合唱して散会になりました。
 下の写真は、贈呈式の記念演奏で、地元の合唱団を指揮して、自作の「一瞬の、いま」を演奏される 林 光 さんです。