「高原」親柱

1.テキスト

   高原

海だべがど おら おもたれば
やつぱり光る山だたぢやい
ホウ
髪毛 風吹けば
鹿踊りだぢやい

        宮沢賢治

2.出典

高原」(『春と修羅』)

3.建立/除幕日

1996年(平成8年)7月 完成

4.所在地

花巻市高松 猿ヶ石橋親柱

5.碑について

 早池峰連峰の薬師岳南麓に端を発した猿ヶ石川は、北上山地の間を流れ下って、遠野のあたりからは街道やJR釜石線(昔の岩手軽便鉄道)に沿うかたちで西へ向かい、花巻の「イギリス海岸」より少し上流のあたりで、北上川に合流します。
 賢治が、花巻から北上山地を往復する際には、いつも付き添っていた流れです。

 この猿ヶ石川の、 北上川との合流地点から5.3kmほど上流で、広域農道に架かった橋が「猿ヶ石橋」ですが、この橋の「親柱」には、上の写真のように賢治の詩「高原」のテキストが刻まれています。
 交通量も少ない、いかにも「田舎道」の橋なのですが、こういうところにふと宮沢賢治の詩があるというのが、やっぱり「イーハトーブ」の国ですね。

 私もその存在は知らずに、花巻から成島毘沙門堂に自転車で向かっている時に、偶然通りすがりに気がついたのですが、 思わず「ホウ」と叫びたくなってしまいました。


反対側の親柱にもやはり「高原」が刻まれている