「風の又三郎」像

1.テキスト

なし

2.出典

童話「風の又三郎」

3.建立/除幕日

1996年(平成8年)5月26日 除幕

4.所在地

岩手県奥州市江刺米里 種山ヶ原 種山高原星座の森

5.像について


……そして風がどんどんどんどん吹いてゐるのです。又三郎は笑ひもしなければ物も云ひません。たゞ小さな唇を強さうにきっと結んだまゝ黙ってそらを見てゐます。いきなり又三郎はひらっとそらへ飛びあがりました。ガラスのマントがギラギラ光りました。ふと嘉助は眼をひらきました。灰いろの霧が速く速く飛んでゐます。……

 この魅力的な銅像は、上に引用した場面の舞台と推定される、種山ヶ原に建てられています。マントをはためかせた又三郎は、ちょうど花巻の方角を、じっと見つめています。

 詩作品では「三三一 孤独と風童」(『春と修羅 第二集』)というのがありますが、思わず私たちもこの作品における賢治のように、風の童子に声をかけてやりたくなるような、そんな様子で立っています。


花巻方面を望む又三郎