三三一

     孤独と風童

                  一九二四、一一、二三、

   

   シグナルの赤いあかりもともったし

   そこらの雲もちらけてしまふ

   プラットフォームは

   Yの字をしたはしらだの

   犬の毛皮を着た農夫だの

   けふもすっかり酸えてしまった

   東へ行くの

   白いみかげの胃の方へかい

   さう では おいで

   行きがけにねえ

   向ふの

   あのぼんやりとした葡萄いろのそらを通って

   大荒沢や向ふはひどい雪ですと

   ぼくが云ったと云っとくれ

   ぢゃさようなら

   樺の林の芽が噴くころにまたおいで

   こんどの童話はおまへのだよ

 

 


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