こは和賀川ぞ赤さびて
けはしき谷のその底に
春はまひるを雪しろの
浅黄の波ぞながしける
雑木と雪のうすけぶり
つらなる尾根のかなたより
夏油の川は岩ほりて
ましろき波をながしくる
二川こゝにて会すとや
いなさにあらず和賀の水
夏油のそれの十なれば
かの川こゝに入るといへ
抹して西に送るべき
かの大理(なめ)石のつらなりを
この川筋に求めんは
むなしきこととおもはるゝ
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