第十一葉

   

   恐らくは白日輪なりなんを

   ひとびとあふぎはたらけり。

       ※

   赤さびの廃坑より

   水しみじみと湧きて鳴れり。

       ※

   げに和賀川よ赤さびの

   けはしき谷の底にして

   春のまひるの雪しろの

   浅黄の波をながしたり。

       ※

   和賀川の浅葱の雪代水に

   からだのりだす栗の木ら

   その根は赤銹によりて養はる。

       ※

   ならび落つる

   泉を見んと立ちどまりしとき

   かれ葉かさかさと鳴り

   透明の雨はふりきたる

   雑木のこずえに

 

 


次の草稿形態へ→