第十葉

   

   ちぎられし

   どてのひまより

   ひかりの天末

   かはるがはるのぞきたり。

       ※

   あすこが仙人の鉄山ですか、

   雪がよごれて黄いろなあたり。

       ※

   夏油の川は岩ほりて

   浅黄の波を鳴らしたり

   雑木と雪のうすけぶり

   ましろき波を鳴らしたり。

       ※

   いたゞきの梢どもは

   つめたき天にさらされて

   けさなほ雪をかむりたり。

       ※



   雪融の山のゆきぞらに

   一点白くひかるもの

 

 


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