一〇八七

                  一九二七、八、二〇、

   

   何といふおれは臆病者だ

   夜明けの雨でそこらの

   稲が倒れたために

   こんなにめちゃくちゃはたらいて

   不安をまぎらさうとしてゐるのだ

   あゝけれども

   またあたらしく

   西には黒い死が浮きあがる

   春には春には

   それは 明るい恋愛自身だったでないか

   

 


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