一〇四二

                  一九二七、四、二一、

   

   同心町の夜あけがた

   春めいた浅黄のもやに一列の淡い電燈

   家はみな同じ高さで

   黄いろな壁や萱屋根や芦簀を張った小さな窓や

   窓の下にはあやめが生えて

   しづかに水もながれてゐる

   横の方には三尺ずつの玄関が

   四角に刈ったきゃらで半分かくされてゐる

   向ふの坂の下り口で

   犬が三疋じゃれてゐる

   子供が一人ぽろっと出る

   

 


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