一九二七、四、二一、
同心町の夜あけがた
春めいた浅黄のもやに一列の淡い電燈
家はみな同じ高さで
黄いろな壁や萱屋根や芦簀を張った小さな窓や
窓の下にはあやめが生えて
しづかに水もながれてゐる
横の方には三尺ずつの玄関が
四角に刈ったきゃらで半分かくされてゐる
向ふの坂の下り口で
犬が三疋じゃれてゐる
子供が一人ぽろっと出る
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