一〇四二

                  一九二七、四、二一、

   

   古風な士族町をこめた浅黄いろのもやのなかに

   咲きのこりの淡い電燈の一列

      わたくしのヒアシンスを

      造花と見る人がたいへん多い

   日がそらでぼんやり黄ばらをけぶすとき

   新らしい伯林青で塗りあげたその屋台店の主人は

   胡桃の木の枝をひろげる裏の石屋根の下で

   かうかうとして睡ってゐる

   

 


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