川
一九二七、四、五、
じつに古くさい南京袋で帆をはって
ねむさや風に逆って
山の鉛が溶けて来た重いいっぱいの流れを溯って
いったいどこへ行く船か
男が三人乗ってゐる
じつにうまくないそのつらの風
じぶんだけせいぜいほうたうをして
それでも不満でしかたないといふ顔付きだ
樽を三つも載せたのは
おほかた酒を買ひに行くのだ
今夜もみんな集って
八十円ほどがぶがぶやらうといふのだらう
もちろん米は潰して酒にできやうが
ひるまの雨は夜には針にもみぞれにもなるぞ
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