一〇二八

     〔じつに古くさい南京袋で帆をはって〕

                       四、五、

   

   じつに古くさい南京袋で帆をはって

   おまけに風に逆って

   山の鉛が溶けて来た重いいっぱいの流れを溯って

   この船はどこへ行かうといふのだらう

   男が三人乗ってゐる

   じつにうまくないそのつらの風

   じぶんだけせいぜいほうたうをして

   それでも不足で不平だといふつらつきだ

   今夜もみんな集って

   百五十円ほど黄いろな水を呑まうといふのか

   そのばけそこなひの酵母の糞を

   町まで買ひに行かうと云ふのか

   あんまり云ふことをきかないと

   今夜この雨がみんなみぞれや針にかはって

   芽を出したものをみんな潰すぞ

   

 


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