一〇二二

                  一九二七、四、一、

   

   蕗の根をとったり

   薹を截ったり

   きみたち二人はたらけば

   朝日に翔ける雪融の風や

   そらいっぱいの鳥の声

   あゝ一万のまた千億の

   掘り起された塊りには

   いちいち黒い影を添へ

   独乙唐檜も三列冴えて

   杉の林のなかからは

   まっ白な聖重挽馬が

   こっそりはたけに下り立って

   ふさふさ蹄の毛もひかる

   

 


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